第28話 リハビリは続く

週3回のリハビリに通っている。

マッサージや運動訓練、電気治療を行う。

療法士とのやり取りも世間話になってくる。

「だいぶ柔らかくなってきましたね。」

とか、

「歩き方もよくなりましたよ。」

とか言ってくれるけど、

療法士の前ではそうだし、少しの間なら真っすぐに歩ける。

でもね、もっと長い時間になると姿勢も悪くなるし、

右足に重心が乗ってしまうのだ。

療法士が、足首を持って、前後や上下の運動をする。

「ゆっくりいきましょう。」

と言うが、早過ぎません?

その動きが痛いです。

今日、リハビリ室でU君に出会う。

「どんなですか?」

彼は、私がアキレス腱を断裂した時、一緒にバドミントンをしていたメンバーの1人。

彼自身は、膝を痛めて、もう1年くらいリハビリに通っているという。

「膝を動かして歩く練習するのに、どうするのか分からなくなってたんですよね。」

分かるよ。

私も歩き方が分からなくなってるからね。

今まで意識していなかったが、歩くとは、

足の指や足の裏を使って、前後に体重移動させていたんだ。

改めてそんなことを意識しながら歩いてみる。

足の指の付け根が大事なんだが、ここに力が入らない。

不安定になる。

結果、かかと側に体重がかかったままになる。

足首あたりの筋肉が緊張し、痛みも出るし、突っ張る感じになる。

まだまだだな~

会社の会議は、大阪の支店に行くのだが、

到底電車に乗ったり、新幹線に乗り換えたり、出来そうにもない。

無理を言って、広島事務所で1人ぼっちTV会議だ。

1人でも問題はないが、話し相手がいないので、眠くなる。

広島事務所には、うちの営業部はないので、他部署の事務の人に

設定や印刷をお願いすることになる。

Kさんが担当してくれて、何度もお願いするも、快く応じてくれた。

「量販ってどうなってるのか分からないから、聞いてみたかったんですよね。」

と休憩中に色々と話す。

元々私は、人見知りが激しく、近所のおじさんやおばさんとも挨拶さえ出来ない子だった。

今でも、初対面の人と話すことはとても緊張して、冷や汗が出る。

そんな性格で営業職も20年以上。

この歳になると、平気なふりをして話せるようになる。

この人大丈夫そう

とか、瞬時に判断出来るようになったこともあるだろう。

Kさんは、非常に話しやすい。

「色々違うんですね。」

「システムを今年中に改良するらしいですよ。」

「量販だけですかね?うちのもやって欲しい。事務が煩雑なんですよ。」

「バラバラだし、都度記入したり、入力したりって、遅れてるよね。」

「そうなんですよ。でも量販の方が大変なんでしょうけど。」

そんな会話をしながら、まだ足が回復まで時間がかかりそうなので、またお世話になるかも。

「いつでもどうぞ。楽しみにしてます。気をつけて。」

感じのいい女性だ。

リハビリは、まだまだ続くよ~


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