第21話 松葉杖1本!

毎週金曜日は、診察及び、リハビリ。

装具のソールもやっと2cmになった。

先生、

「まだ固いですね。もう松葉杖は、1本でもいいでしょう。」

ほう、やっと1本で移動出来る。

実際は、出来るだけ1本で移動しているけど、

医師からお墨付きを頂くと安心する。

「あとどれ位松葉杖が必要なんでしょうか?」

「経過を診てですが、1ヵ月は必要ですね。今は、2本持っていた方がいいとは思います。」

2か月使った松葉杖は、下のゴムが割れてしまった。

リハビリ室で申し出れば交換してくれるというので

療法士にお願いした。

てっきり新しい松葉杖になるものと思っていたら、

ゴムを取り替えて、汚れていた包帯を巻き替えただけだった。

あ~、なるほどね。

リハビリと言っても、ほぼマッサージだ。

まだまだ固くて、足首はほとんど動かない。

先週、お花見に行くように療法士に勧めていた。

「お花見行きました?」

「ええ、言われた棲真寺に行きました。あそこいいですね。桜も綺麗だったし、本当に穴場でした。」

棲真寺には、たくさん桜が植えてあり、桜の広場という芝生の広場がある。

療法士さんには、まだ2歳のお子さんがいるということで、

安全で楽しめる場所として紹介していた。

「介護施設の団体と高齢の人ばかりだったので、僕たちが遊んでいるのを見守ってもらってるみたいでした。お天気も良かったし。」

「秋もお勧めですよ。紅葉もたくさんあって、赤や黄色で綺麗なんですよ。どんぐりも落ちているから、喜びますよ。」

「ありがとうございます。全然知らなかったんですが、いい所ですね。秋も行ってみます。」

マッサージの間、色々と会話をする。

療法士によれば、長いと4か月松葉杖の人もいるということだった。

焦っても仕方ない。

「いつになったらゴルフ出来るのよ?」

と電話がかかってくる。

「夏くらいかな?」

4月は、誕生月なので、ゴルフ場から優待券が届いたり、

ステーキハウスから無料チケットが届いたりしているのだが、

今年は、どれも見送りだ。

ゆっくりしろということだろう。

お陰でお金も使わない。

買い物も片手の松葉杖で頑張ってみる。

お米が無くなって、リュックを背負って買い物に行く。

あまり買うと重いし、リュックに入らなくなる。

とにかく歩くのは遅い。

ずっと固定されていた装具が、少し動きが出るように調整されたのだが、

その動きにまだ慣れない。

しっかりつま先で蹴って歩くようにしなければ。

浮腫みも、足先だけになってきた。

焦らず、確実に。

あとは、恐怖心との闘いだ。


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