第37話:インバウンドとスタグフレーション

 2019年、日本では相変わらず東南アジアを中心とした観光客が大挙して押

し寄せて、日本国内の消費の陰りを、帳消しにしてくれた。また、外国人労働者

の労働ビザの緩和により、若い、東南アジアの労働者が、ファミレス、コンビニ、

コーヒーショップ、居酒屋では、メジャーな存在になった。


 その他、インドや中国のコンピュータ産業技術者たちは東京、横浜の日本の

コンピューターや通信、スマフォ、ソフトウェア、車産業の技術者として、厚遇

を受けて、都心から1時間県内の場所に1軒屋を立てたりして、高級車を乗り回

し豪勢な暮らしをするものまで現れてきて、収入の少ない日本の非正規労働者を

しり目に、日本の産業界での存在感を高めつつあった。


 東京オリンピックに向けての宿泊所が足りないので会場から1時間以内の郊外

にもホテルが林立していった。そうして2020年を迎えた。2020年は東京

オリンピックの年で、そのリハーサルと最終チェックに余念がなく忙しく働く

現場の外人労働者が目立った。そしてオリンピックが始まり素晴らしい、世界

のアスリートたちの競演に毎日、テレビに釘付けの日本人が多かった。


 こういう面白い時間というのは、えてして、あっと言う間のに感じるのであり

、今回のオリンピックも例外ではなかった。素晴らしいスポーツマンの祭典

オリンピックも2週間で閉会式を迎えて、続いて、パラリンピックが始まった。

 8月が終わる頃から、日本の株価が建設、不動産から落ち込んできた。今まで

もオリンピックが終わると日本の株の下げが怖いと言われていたが現実に大きな

下げを演じ始め、それが米国、欧州へと伝播していったのだった。消費増税は、

やはり東京オリンピック前の経済の腰折れにならない様に2021年10月から

と再延期となった。ところが、その再延期が、むしろ裏目に出そうな勢いで株価

が連日、最安値を更新してきた。これには政府は何もできず、株安、円安で不景

気の物価高、スタグフレーションを連想させるような感じになってきた。


 そうして2021年を迎えた。株安、円安は続いたが外国人客の増加は今まで

より増えてきて、東京、銀座や京都、横浜、大阪は、もはや、外国だらけだった。

 しかし円安により日本企業の輸出は増えはじめて、業績が徐々に上昇してきた。

 またインバウンド消費により、小売業、観光業を中心に景気が持ち直してきた。

 ただ日本人にとっては輸入品高騰による、物価高で減り続ける年金を合わせる

と、一番人口の多い階層である75歳以上が2重苦、3重苦で苦しい生活を

強いられていた。

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