第33話:日本の家電メーカーが壊滅的な業績悪化

 この年は日本の家電メーカーが壊滅的な業績悪化となった。この頃、大手家電

メーカー各社は2011年度第3四半期の決算予想を大幅に下方修正してパナソ

ニック、ソニー、シャープ3社合計の通期の最終損益見込みは、およそ1兆3千

億円弱の赤字という目を疑うような悲惨な状況にあることがわかってきた。


 その後、リストラ等の効果もあって多少なりとも回復が見込めるとの報道もあ

ったが結局、2012年度の業績予想も繰り返し下方修正され11月には3大

格付け機関の一角、フィッチレーティングは、パナソニック、ソニー共『投機的

格付け』に格下げしてしまった。世界に冠たる日本の家電メーカーの時代は完全

に終焉していることが誰の目にも明らかになった。


 9月11日、尖閣諸島3島、魚釣島、北小島、南小島を国が20億5千万円で

買い取り国有化した。9月15日に日本政府による尖閣諸島の国有化に抗議する

中国の反日デモは当初の予想を大きく超えて広がり、トヨタやホンダの販売店や

パナソニックの電子部品工場、総合スーパーのイオンなどの日系企業が相次ぎ襲

われる事態にエスカレートした。経済的な躍進が様々な矛盾や問題を覆い尽くし

ているといわれてきた中国では、経済成長を阻害する要因を政府がそのまま放置

することは考えにくく『政権交代期のデモンストレーション』、『反日を借りた、

国内不満分子への「はけ口」の提供』等いわばガス抜きが反日デモの主な理由な

ので、基本的には過激化することは考えにくく、短期的に終息するとの楽観的な

観測もあったが、その期待は裏切られ、デモの一部は暴徒化し、略奪や破壊が繰

り返された。さすがに今では騒動は一段落したとはいえ一部に不買運動が継続

している等、反日感情は払拭されていない印象だ。その証拠に日本企業は続々

と脱中国、ASEAN等へのリスク分散を始めた。


 そんな暗い日本のニュースの中で、久々に明るいニュースが飛び込んできた。

 10月8日京都大iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞

を受賞した。そしてもう一つ注目された「世界終末の日」マヤ文明の歴史が終わる

「西暦2012年12月21日」を迎えたが、幸いにも世界中で何も起こらず

この日を終え、やがて2013年を迎えた。


 寛太は2013年1月がゴールドが急上昇して2001年に購入した

6千万円分の金の値段が3億5千万円になったので売却して残金が13.6億円

になった。その後、寛太は、株取引をやめて、S&P500ETFに6億円分

投資した。鉄郎は、寛太のアドバイスでキヤノンを3100円で2千株

620万円で購入し残金が447万円となった。


 2013年4月にボストンマラソンで爆弾と見られる大きな爆発があり少なく

とも3人が死亡、多数の負傷者が出た。世界的にも歴史のある同大会は、凄惨な

テロ現場と化した。9月には2020年夏季五輪・パラリンピックの開催地が東

京に決定し、これには日本中がお祭り騒ぎとなったが多額の予算が必要なオリン

ピックうれしいとばかり浮かれてばかりいられない、予算をどう捻出するかとい

う事と、予算のずさんな立案問題が浮上してきた。やがて2014年を迎えた。

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