番外編(エージ×ハル)
世界に明日と希望をくれた音楽に
鼻歌まじりにギターを鳴らす。真っ暗な部屋の中、月明かりに照らされた弦が光っていた。
自分の歌が上手いと思ったことはない。誰に褒められたって何度褒められたって、俺はどうしてもそうは思えない。
いつだって俺は、自分を否定して生きてきた。そうすることで自分を守ってきた。誰に何を言われても、やっぱりそうなんだと思えるように。落ち込まないように。
歌が終わりギターも弾くのをやめると、その瞬間感極まったような拍手が響いた。そして、「エージさん、すごい!やっぱりすごい!」と語彙力の欠片もない感想も。
「すごい以外言えねぇのかよ」
「だって!だってすごいから!」
陽乃に手を伸ばすと、歩いてきた陽乃がその手に手を重ねる。そして、そのまま引っ張り抱き締めた。
「俺すごい?」
「うん!すごい!」
思わず笑ってしまう。俺には分からない、信じられない俺自身を、陽乃は何の疑いもなく信じてくれる。
「……ならそれは、お前がいるからだよ」
ふっと笑うと、陽乃も嬉しそうに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます