1615話 ボス部屋騒動
さてと、結局メタリックアンデッドスライムが落としたものは……何だこれ? 見
た目はポーションの瓶に見えるが……
だからって飲んで確かめてみるなんて真似をする気はない。匂いは……くっさ! いつかの私の魔王ポーションより臭い気さえする。
どう思うカムイ?
「ガウガウ」
飲めば分かるって? 私の魔力はあんまり減ってないからなー。
「ニンちゃんそれ……飲んでもいい?」
「お、おお、いいけど、大丈夫か? これ何だ?」
「たぶん……劣化万能薬だよ。痛みを消したり、気分をアゲアゲにしてくれるやつ……」
それって本当に万能薬か? まあクロミがそう言うなら間違いないんだろうけどさ。
「ほれ。飲んでいいよ。」
「うん、ありがと……」
クロミは嫌そうな顔をしながらも全て飲んだ。
「ふはぁー、くっそまずいし! でもなんだかいい感じだし! ニンちゃんありがとぉーー!」
「おう。いきなり元気になったみたいだけど、大丈夫か?」
「ウチはいっつも元気だし! あっ、でもまだ魔法は使えないけどねー! ニンちゃん守ってねー!」
「バカやろぉ! クロミぁ俺が守るに決まってんだろうが!」
おっ、ドロガーも元気だな。腹は大丈夫なのか?
「もーヨッちゃんってウチの体が欲しいだけのくせにぃー。」
「ちっ、違う、いや、違わねぇ、こともねぇけど! けっ、けどよ! 俺、マジでお前のことが!」
あらら、ドロガーがマジモードだ。ならば気を利かせてやろう。
「おいドロガー。俺らは先に行ってるからな。でも一時間以内にここを出ないとまたボスが現れるぞ?」
「待ってニンちゃん! この際だからはっきりしとこうよ! ニンちゃんはウチがヨッちゃんと寝ても平気なの?」
「悪いな。もちろん平気だぞ。俺の体も、そして心もアレク以外には反応しないんだよ。」
知ってるくせに。
「そしてヨッちゃん! もしウチらが結婚したとするよ? もちろん子供はできないし! それにもし! いきなしニンちゃんの気が変わってウチを妾にするって言ったらウチ、喜んでなるよ? そんな女にマジになってどうすんの!?」
「けっ! そんな先のことなんか知るかぁ! そん時考えりゃあいいだけだろぉが! だがクロミ! 俺ぁどうもお前の黒い肌にイカれちまったんだよ! 南の大陸の奴らとも違う! 夜空のように輝くお前の黒さによぉ!」
「えっ? 黒い? ウチの肌そんなに黒い?」
「ああ。信じられねぇぐらい黒くて美しいぜ。俺ぁ見たことねぇが黒曜石ってのはきっとお前の肌ほど美しいんだろうぜ。」
黒曜石の黒さとクロミの肌の黒さは全然方向が違うじゃん。クロミのは健康的な小麦色ってやつなのかねぇ。私らは全員お互いの全裸を見てしまってるからなぁ。アレクの素肌を見たこいつらには思うところがないでもないが……
「ヨッちゃん……そんなにウチのこと……」
「おお! とっくに三十過ぎた俺だけどよぉ! クロミみてぇな女にぁ会ったことがねぇ! どんな手ぇ使ってでも手に入れてやんぞ! こんな男ぁきれぇかよ!? あぁ?」
「ウチらダークエルフの女はね……強い男が好きなの。同じダークエルフの男ってあっちの方が弱いせいもあってさ……」
「それがどうしたぁ! そりゃあ俺はおめぇより弱いたぁ思うがよぉ! だからってなぁ! おめぇに勝てねぇわけでもないからよぉ!」
うーん、ヒートアップしてるね。
「そんなら勝負よ! ウチに勝ったらチャンスあげるし! 一晩相手してあげるし! でも負けたら……負けたらウチの下僕になってもらうし!」
「バカが! おめぇ今ぁ魔法が使えねぇんだろうが! それでどうやって俺に勝つつもりなぁ!?」
「勝てるし! ウチの体に目が眩んだヨッちゃんなら相手じゃないし!」
「ほぉーう。そんならやってやるよ! 勝負してやんぜ! おらぁ魔王! おめぇが立会人だぁ! いいな?」
あらら。すごいことになったぞ……
「分かった。ただし決闘じゃないからな。お互い殺すような攻撃はするなよ?」
そんなことしてる場合じゃないんだけどなぁ。心なしかクロミに余裕を感じないんだよな。ドロガーの口説きにぐらぐらきてる気がするね。まったく、ボス部屋で何やってんだか……
「いいし!」
「俺もだ。」
「では用意はいいな? 始め!」
いきなりクロミがばさりと服を脱いだ。ドロガーの手は止まっている。
「どうしたのヨッちゃん? その縄でウチを拘束して、無傷で勝つ気だったんだよね? できる? ウチの素肌にそんな縄をうてるの?」
素肌に縄……ありだな。今度アレクに……
「ちっ、おらよぉ!」
おお、ドロガーのロープが唸るが……クロミはするすると避けてる。全裸で……
「舐めてんじゃないよ! もっと本気できなよ!」
「うるせぇ! やったらぁあ!」
あらら、ドロガーがロープを手放したぞ。そして上半身裸に……
げっ、マジか。殴り合いが始まっちゃったよ……
まったく、ここはボス部屋なんだぞ? いい気なもんだ……
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