第1177話 悪食コーネリアス
私とアレク、コーちゃんは自動防御の中。カムイは建物の外に出てもらってる。ランディとマユゥミはがんばって戦っている。
そろそろ助けてやろうかな。
『散弾』
へえ。こいつらやるなあ。半分しか倒れてない。
「ま、魔王さんよぉ! 加勢してくれんのはいいけど俺らまで巻き込まねぇでくれよ!」
「おお悪い。当たったか? まあ気にするな。」
『狙撃』
ならば一人ずつ丁寧に仕留めようかな。あいつ、タムロって言ったかな。あいつ以外は殺してもいいだろう。
はぁー、意外に避けたり弾いたりするじゃないか。生意気な。だが無駄だな。ホーミング狙撃なんだから避けても弾いても結局は同じこと。当たるまで狙い続けるぜ。そして横からは新たな弾丸も。まあこの狭い中じゃな避けるにも限界があるわな。
起死回生で私を狙おうにも近寄ることすらさせないがね。
「ピュイピュイ」
なるほどね。……『狙撃』
タムロの両サイドとランディの後方、合わせて四人ほどが身を隠していやがった。『隠形』を使ってたな? 姿も見えなければ魔力も感じなかったが、コーちゃんの目? 嗅覚は誤魔化せまい。
「なっ! どうして……」
『白弾』
タムロの両肩と両脚を撃ち抜いた。
こんな奴にはもったいないが大サービスだ。お前らの商品アイリックフェルムの威力を体感してくれよ。
「タムさん!」
「ちっ、お前らタムさんを守れ!」
「囲め!」
おお、人望あるんだね。でもそんな風に密集しちゃったら狙いやすいだけなんだよね。
『榴弾』
可哀想に。ミンチになってしまったよ。
「ピュイピュイ」
え? こいつらを食べたいの? だめだよ。お腹を壊したらどうするんだい。コーちゃんは悪食だなぁ。
「ピュイー」
コーちゃんって時々こんな風にミンチになった人間を食べようとするんだよな。趣味が悪いなぁ。あーばっちいばっちい。いや? もしかしてこの考えは良くないのか?
魔物の肉は食べていいのに人間の肉を食べさせないのは差別的思考なのでは? うーん、差別は良くない……ローランド王国では建前上は男性の方が優位だが、実情はどこの家も女性の方が主導権を握りがちなんだよな。よって男女差別ってあんまりない。ファンタジーあるあるじゃないなー。
おっと、思考が逸れた。とりあえずコーちゃんが食べてしまう前に燃やしておこう。私の火なら屋内でも火事にならずに肉片を焼失させることなど容易い。
「さてと、俺の大事な仲間によくも怪我をさせてくれたな。どう落とし前つけてくれるんだ?」
まったく、ランディとマユゥミが怪我をしてるじゃないか。許せんな。あ、ちゃっかりポーション飲んでやがるな。じゃあもう一回『狙撃』
「ぐうっ……」
「せっかくこっちは友好的に話しに来たのによ。お前ら野蛮人かよ。さすがヒイズルの人間は違うな。」
「くそったりゃあ! おんどれぁぜってぇぶち殺しあげちゃあけぇのぉ!」
おや? いきなり口調が変わったぞ。まるでセキヤみたいな汚い口調、これが本性ってわけか。
『微毒』
今の私の微毒はかなり効くぞ。自称毒使いと言ってもいいほどかも。
「あがっげぉぉっ……」
そして『麻痺』
苦しくて吐きたいのに体が麻痺して吐けない。これはキツいだろうね。味わいたくもない。
「さて、お前らの仲間は何人ローランド王国に来てるんだ? そのうちバンダルゴウには何人潜伏してる?」
「だっ、げぼっ、誰が言うかぁこんガキぁぁ舐めとったらげえぁぶ、ぶち殺しげぉぉ……」
嘔吐しながも恫喝の言葉を止めないとは。根性あるね。手足にも穴が空いてるってのに。
「とりあえずランディ、家探ししてくれよ。金目のモノは全部やるから。」
「お、おお……」
うーん、ドン引きしてるな。まあいいけど。
それにしてもこいつら。やはり闇ギルドだけあって誰一人魔力庫の中身をぶち撒けてない。徹底してるね。
「お前らさー。ヒイズルごとき小国の分際でローランド王国にケンカ売ってるよな? 勝てるつもりか? 今の王の方針なのかは知らんがさ。何考えてんだ?」
とりあえず煽ってやろう。
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