第927話 ドラゴンの装備と新しい武器
ここは仕立て屋ファトナトゥール。以前発注していたドラゴンの装備を受け取りに来たのだ。
「こんにちは。できてますか?」
「あー坊ちゃんー。できるよー。着てみてくれるー?」
コバルトドラゴンの皮から作ってもらったウエストコートにトラウザーズ。アレクの分もある。一度魔力庫に収納してから『換装』一瞬で着替えるのだが、さすがにドラゴンの装備は魔力の消費がすごいな。
「どうなのねー? 見た感じバッチリよー。」
「ええ、これだけの素材なのに動きを阻害することが全くないですね。最高です。ではこっちのメンテナンスもお願いします。魔石はこれで。」
そう言って私はサウザンドミヅチのウエストコートとトラウザーズを渡す。魔石はマウントイーターのやつだ。
「えらく凶々しいけど何の魔石なのねー?」
「マウントイーターって言うんですよ。山岳地帯で入手したんですが厄介な魔物でした。」
「はえーマウントイーター? 初耳なのねー。どんな効果が付くのか分からないけどー内包する魔力からするとメンテナンス以上の効果がありそうなのねー。」
この魔石は割れて半分しかないが、十分だよな。
「じゃあまた一ヶ月後ぐらいに来ますね。」
「はいよー。まいどなのねー。」
こんな時なのに新品の服って気分がいいよな。見た目は普段と変わりないが。次にドラゴンの素材を手に入れたら、ベルトと手袋と帽子、それに靴だな。首と顔の防御が甘いのはどうしよう。永遠の課題だな。
さて、次は木工屋クランプランドだ。ちなみに、クランプ-ランドではなく、クラン-プランドで区切る。
いるかなー。
「こんにちは。ボンドゥさんいるー?」
「おう……いるぞ……」
「注文というか相談なんだよね。まあこれ見てよ。」
そう言って私は店の床にイグドラシルの枝を出した。
「こ……これは……まさか……」
「おっ、知ってる? イグドラシルの枝。山岳地帯で入手したんだよね。」
「イグ……ドラシル……これがあの……」
やっぱ知ってるのか。さすがに一流の職人は違うね。
「相談はこれを削って木刀と棍を作って欲しいってこと。見ての通りこの重さに硬さだからどうなんだろうと思ってね。」
長年愛用していた木刀の虎徹。偽勇者に真っ二つにされてしまったもんな。これなら絶対負けないはずだ。
「こ……これを削るのか……白金貨が五、六枚飛ぶかも……知れん……いいのか?」
うーん、ダミアンに白金貨をもう二百枚貸して、マイコレイジ商会に風呂やトイレの支払いをする……その上で白金貨五、六枚か……
ギリギリ足りるが……全財産が空っぽになるな。まあいいや。金はまた稼げばいいさ。
「オッケー。頼むよ。魔力が必要なら提供するしね。前金は必要?」
「ああ……白金貨で二枚くれ……器具の手配に使う……」
なるほど。これほどの木を削るわけだから特殊な道具がいるんだな。
「じゃあ約束ね。前金で白金貨二枚、それとイグドラシルの枝を置いていく。だから、全力で取り組んでもらうよ?」
「ああ……っあ、当たり前だ……」
さすがにこれだけの大金と素材を置いてくんだからな。契約魔法ぐらい使うよね。
「じゃあ一ヶ月後ぐらいにまた来るよ。それまでに何か困ったことがあったらギルドか無尽流の道場に伝言を頼むよ。」
「ああ……やってみよう……」
また楽しみができてしまったな。イグドラシルの木刀か。クソ重くなりそうだから、サイズ調整が重要だな。
さて、すっかり夜になってしまったな。治療院に戻るとしよう。
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