第623話 レイモンドとフェルナンド

午後からはアレクとデートだ。コーちゃんとカムイも連れて歩こう。

美少女、精霊、召喚獣。豪華三点セットを連れているのに全く絡まれない。王国一武闘会での優勝が効いているのか、それともアンタレスを焼き尽くしたのが効いているのか、どっちだろう。それとも他に?


最初の目的地は無尽流の道場。フェルナンド先生にお礼を言いたいし、レイモンド先生にお祝いも言いたいもんな。




到着してみると、みなさん外で稽古をしていた。寒いだろうに。あぁ、道場は改築中か。

私とアレクはお揃いのサウザンドミヅチのコートがあるから全く寒くない。これを収納せずにおいて本当によかったよ。


「稽古中だね。じゃあ僕は少しだけ混ざるからコートを持っててくれる?」


フェルナンド先生は見当たらないがレイモンド先生はいる。手が空くまで稽古に参加してよう。今日は虎徹しかないから素振りだけだな。



「よーし十分休憩!」


レイモンド先生の声だ。挨拶しに行こう。


「先生! お久しぶりです。遅くなってしまいましたが、優勝おめでとうございます!」


あの時の宴会では話せなかったもんな。


「ありがとう。カース君も色々あったらしいね。元気そうで何よりだよ。私の命の恩人でもある。この恩は忘れない。」


「押忍。助かってよかったと思います。ところで本日フェルナンド先生は?」


「あぁ、師範ならまた旅に出たよ。北の方に行くと聞いてるよ。」


「押忍。ありがとうございます。実は今後、気軽に王都に来れなくなってしまいました。クタナツでアッカーマン先生に鍛えていただく所存です。どうか先生、お元気で。」


「そうか。色々あるもんな。いつかまた会おう。元気でね。」


フェルナンド先生に会えなかったのは残念だが、レイモンド先生に挨拶できたから良しとしよう。


「お待たせ。さあデートに行こうか。今日は賭場はなしだよ?」


「分かってるわよ。昨日のはカースが行きたそうだったからよ。」


確かに行きたかったかな。娯楽が少ないもんな。なら今日は屋台で食べ歩きもいいな。それならコーちゃんにカムイも好きなだけ食べられそうだな。




やって来たのは第二城壁内エリアの目抜き通り。所狭しと屋台が並んでいる。片っ端から食べてくれよう。


ちなみにコーちゃんが食べる分への魔力はアレクに込めてもらった。

「ピュイピュイ」

え? 薄いけど熱い? 人それぞれの味があるものだな。


ところで、全く絡まれない理由に一つ思い当たった。

傾奇者を全然見ないのだ。

あんな奴らでも少しは闇ギルドと関わりがあったのだろうか。あったのだろうな。だから片っ端から連行されたのか、それともビビって普通の風体に戻したか。

王都はこれからどうなることだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る