第341話
こんな時間にも関わらず代官は仕事をしていた。
「失礼いたします。緊急のお知らせに参りました。」
「入れ。」
「失礼します。」
「ほう、騎士長だけかと思ったら。君は確かカース君だったな。緊急か。」
そして騎士長から事情が説明される。
「なるほど。クタナツとして強気の姿勢を示しておくのは悪くない。むしろ誰にもできない奇策と言える。何度もカース君に甘える訳にもいかんが今回はぜひやってもらおう。」
そして代官は書状を
あれ? 書き始めて印璽を押すまで二十秒ぐらいしかかかっていない。封蝋を含めても一分と経っていない。
「城門を破壊したならこれを付近に落としておいてくれ。」
「分かりました!」
そして私は代官府の庭から飛び立った。領都より戻って一時間と少ししか経っていない。七時過ぎだろうか。
冬なので空はもう真っ暗だが、天測と羅針盤のお陰で迷うことはない。
一時間足らずで領都に到着。本気で飛ばせばこんなもんだ。
さて、私は現在北の城門上空にいる。
まずはここから大き目の『水球』
城門にダメージを与えつつ辺り一帯を水浸しにする。
騎士が飛び出してきた。周囲を警戒している。まだ上空には目が向いていない。
『落雷』
全員痺れてもらう。
城門警備の騎士は見る限り二十人程度。まだいるかも知れないが『浮身』
倒れている騎士全員を浮かせて城門から離す。これで全員離れたと見なして『水球』
今度はただ落とすだけでなく撃ち出す。魔力もたっぷりと込めてあるので破壊力は巨大鉄球と遜色ない。城門を城壁ごと上から押し潰す。
次は前から『水球』
城門は内側に倒れ、崩れかけだった城壁は完全に崩れ去った。
おまけとばかりに近辺の城壁にも『水球』
警備の騎士が何人か寄ってきたので、ここまでだ。
代官の書状は風操を使い寄ってきた騎士に届けておく。誰にも私の姿は見せない。領都には姉上がいるからな。
辺境伯邸も潰しに行きたかったけどソルダーヌちゃんがいるからな……
魔法部隊が出てくる前に逃げよう。
クタナツに到着。先ほど同様、代官府の庭に着陸する。近くの騎士さんに代官を呼んでもらおうと思ったらもう居た。
「ただいま戻りました。城門とその周辺の城壁を破壊して参りました。書状は騎士に渡してあります。私の姿は誰にも見られておりません。」
「御苦労だった! 褒美は楽しみにしておいて欲しい。できれば希望を言ってくれるとありがたい。」
「分かりました。考えておきます。では失礼いたします。」
その後、騎士団の馬車でアレク宅に顔を出してから自宅へ帰った。まったくハードな休日だった。私のアレクに手を出す奴は許さん。
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