第247話
私達は姉上に連れられて領都のギルド、の近くの汚い飯屋にやって来た。姉上らしからぬチョイスだが、どうしたことだろう。
「入るわよ。こんな店だけど私のお気に入りなの。」
中も汚い。まだ日が暮れてないのに酔い潰れてる奴もいる。しかしいい匂いがする!
肉を焼いた香ばしい匂い! これはもしや……
「ここは自分達で肉を好きに焼きながら食べる店なの。領都でもここしかない斬新な店よ!」
焼肉だ! これは嬉しい! さすが姉上!
「早く食べようよ。お腹が空いてきたよ。」
「私も初めてですが、とてもいい匂いですね。」
「注文は任せて。マスター! オークのセットとミノータウロスのセットをお願い!」
「あいよ!」
セットってことは色んな部位を少しずつ出されるのかな。ミノータウロスは食べたことがない。楽しみだ。
「はいお待ち!」
来た! 皿がでかい! 量も多い!
しかも炭がある! すごいな。見た感じ木炭だが、どこで作ってるんだ?
これはますます焼肉が楽しみになってきた。
「さあ、どんどん焼くわよ。まずは見てなさい。」
ミノータウロスだが、皿を見た感じタンがない。内臓系はあるのに。
「焼けてきたらそのタレにつけて食べるといいわ。塩を振ってもいいわよ。」
「美味しい!」
これは美味い! 完全に牛肉だ。それも前世で少し高い焼肉屋に行った時より美味しい!
岩塩を削るのが少し面倒だな。時々硫黄臭いのも混ざってるし。まあタレで食べればいいか。
うまいっ! 今のはカルビか。
アレクも夢中で食べている。それはロースだな。
姉上がどんどん焼くものだから私達はひたすら食べる! もうミノータウロスのセットがなくなった。
次はオークだ。
これも美味しい! オークは頻繁に食べているが、普段の味とは違って美味しい。こちらのセットには内臓系はない。
クイーンオークやシーオークと、色々食べてきたが、ただのオークがここまで美味しいとは。
「コカトリスとかバジリスクはあるのかな?」
「贅沢言うわね。まあいいわ。マスター! コカトリスかバジリスク入ってる?」
「すまん! 入ってない! ちょいと高いがトビクラーなら入ってるよ!」
「じゃあトビクラーのセットで!」
「軟骨も追加で!」
この前トビクラーを狩った時、軟骨を頼み忘れたからな。ぜひ食べないと。
「アンタも変わった趣味してんのね。」
「カースは軟骨が好きなのよね。この前のトビクラーは軟骨取ってないの?」
「そうなんだ。肉だけで軟骨を頼むのを忘れてさ。だから今日は思わぬ出会いだね。」
「アンタまさかトビクラーを仕止めたの? あの時の?」
「いや、別のやつ。クタナツからだいぶ東だったかな。結構大きかったよ。」
「……やるわね。」
「はいお待ち!」
来た! 軟骨が少ししかない!
「私はいらないからアンタ食べなさい。」
「私も軟骨はあんまり……」
やった! 独り占めだ。でも少し寂しい。
旨い! 焼けるのに時間がかかるから他の肉を食べているが。やはりトビクラーの肉は高級なのか。
ついに軟骨が焼けた。
旨い! 唐揚げで食べるのもいいが、焼いても旨い! 早くビールが飲みたい! 後六年ぐらいかー。禁止されてないから今すぐ飲んでもいいのだが、成長が心配で飲めない。我慢だ!
こうして私達は最高のディナーを楽しんだ。
なお会計は金貨六枚と銀貨三枚だった。姉上としてはミノータウロスが高いのは想定内だが、トビクラーが予想以上に高かったらしい。美味しかったので私が払ってもよかったのだが、姉上の手持ちで足りたらしい。えらい持ってるじゃないか。ごっつあんです。
ちなみにオークのセットが銀貨一枚、ミノータウロスのセットが金貨一枚、トビクラーのセットが金貨五枚、軟骨が銀貨一枚。後は飲み物だ。
しまった。宿を取ってない。何も考えてなかった。
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