第9話 カース、修行する(後編)
さあ午後の部開始だ。
やってやる!
まあ立ってるだけだけど。
「さあカースちゃん、同じように立っておいてね。
今度はマリーも助けてくれないから頑張るのよ。」
「押忍!」
「まあ何ていいお返事なんでしょう! えらいわね。」
要は倒れなければいいんだ。
午前中で気持ち悪さは分かった。慣れてはないけど。
なら意識を保ってただ立ってればいい。
くそー。
首の後ろから熱い魔力が入って行く。
やはり気持ち悪い。
しかもお腹いっぱいだから吐き気がすごい。
というか、えずきが止まらない。
しかし出るのは声のみ、中身は出てこない。
これはよかったのか?
まるで胃に蓋でもしたかのように何も吐けない。
これはもしかしてスライムゼリーの効果?
そのせいなのか気持ち悪さがとんでもない。
吐きたくても吐けないことがこんなにきついとは。
母上は午前最後の時のように魔力を高速で回している。
とっくに頭の中までクソ蛇が這い回っている。
頭の血管はとても細いはずなのに、体感では親指より太い蛇が蠢いているように感じる。
首から下の奴はその三倍はありそうだ。
魔力というだけあって目に見えないのか、だから私の小さな体でも通り抜け放題なのか。
午前はすぐに気を失っていたせいか回数は多くともまだ楽だったようだ。
今は気持ち悪すぎて気を失うことすらできない。
絶対二歳がやることじゃない。
いや、大人だってやらないはずだ。
しかし自分から頑張ると言ってしまったばっかりに……やめるわけにもいかない。
私は魔力高めのはずなのに……
どうにか一時間は倒れずに意識を保つことができた。
しかしそこから先は覚えていない。
気がついた時、またもや風呂でマリーに支えられていた。
しかし声が出ない。
お腹がやけに痛い、これは筋肉痛か?
吐こうとして吐けなかったために腹筋を使いまくったからなのか。
そのままお湯に漂うこと三十分。ようやく再び動くことができるようになった。
すると例によってマリーは湯船から上がり、魔力ポーションを持ってきた。
「一気にお飲みください。」
そう言って渡してくる。
「あ、ありがと……」
飲まないわけにもいかない。
くそぉまずい!
でも一気に飲まないと。
「はい、お見事です。さすが坊ちゃん。
本日は見事な頑張りを見せていただきました。
あれができる二歳児はローランド王国広しと言えど五人といないはずです。」
他にやる奴がいるのかよ!
私は中身がおっさんだから耐えられるが、他の子は大丈夫なのか?
死なないのか?
「あ、ありがと……」
晩御飯はどうなるのか。
やはり食欲はない……
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