文明開化の盛りにある極東の島国・桜華国のお嬢様女学校に通う女学生の美羽と、遠き異国・イングローズから訪れた新任教師アルベルトが繰り広げる不可思議と大正浪漫に彩られた世界観に引き込まれました。
語学教師として赴任したアルベルトは金髪碧眼の好青年で、たちまち女生徒たちの憧れの王子様になります。
誰にも優しい紳士のアルベルトですが、西洋式の礼儀作法は奥ゆかしい桜華女子には刺激が強すぎて、ほのかな想いが芽生えていく優等生の美羽の姿が初々しい。
しかし、教師というのは仮の姿、その正体は祖国から脱走した妖精を保護するために女王陛下の密命をうけてやってきた魔術師で、そのミステリアスな魅力がまた美羽の心をときめかせる。
妖精が視える体質の美羽の周囲では、妖精たちによる不可思議な騒動が毎回起こって、騒動を乗り越えるたびに距離が近づいていく二人の関係に注目です。
いたずらするだけの人畜無害な妖精もいれば、ときに人を襲うような凶暴な魔物もいる。騒動に巻きこまれるのは危険も多いが、それでも恋と幻想にあふれる学園生活がドキドキ、ワクワクで飽きさせません。
(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)