桜華の国の紋様術士

古森真朝

プロローグ

 今ではないときに、ここではない場所で。

 会えるはずのないあなたと出逢った。

 出逢ったあなたに、命のように大切な言葉をもらった。

 自分は幼すぎて、なんと言えばいいかわからなくて、結局そのまま別れてしまったけれど。

 一緒に見上げた空の色も、咲き誇っていた薄紅の花々も、全部昨日のことみたいに覚えている。

 また会えるよと、微笑んだ声を覚えている。 


 ――だから、いつか必ず、逢いに行くよ。

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