クローバーちゃんの日記(2)

 ──クローバーちゃんの日記──


 色々と忙しくて最近書いていなかったので書いてみることにしたのです。書きたいことは沢山あるのです。


 ホムさん……桜井さんがやって来てからもう1ヶ月ほど経過しました。桜井さんの様子は変わった様子は無く、何かを嫌がっている素振りも見せません。むしろ楽しんでます。


 ボクのワガママで連れて来たのですけど楽しそうに暮らしているので良かったです。本当に。本当に……







 良くない。


 良くないっすよ!!!! 何普通に異世界満喫してるんすかあの人!? ねぇ!?


 最近の彼はすっかりゲームにハマって週三くらいでゲームショップ? に遊びに行ってます。


 ……いや別にいいんすけどね? 仕事もちゃんとしてるので別にいいんすけどね?


 でもなんか……もう少し仕事以外でもボクと関わってもいいじゃないっすか? ほら、ボクとお出かけとか……買い物とか……ね?


 まぁ頼んだらきっと着いてきてくれると思うんだけど。あの人優しいので言えば着いてくるはずなんだけど。


 ……本当に着いてくるだけなんっすよね。


 生前、桜井さんと買い物にいったことあるんだけど、ずっと「何買うんだ?」とか「どこに行くんだ?」とか……違うんだよ。


 別に何かを買いたい訳じゃないんだよ。そんなんだったら1人で買いに行ってるんだよ……!!


 あなたと一緒に色々見たり、一緒にご飯食べたりしたいからって何でわかんないんすか……


 そう伝える勇気のないボクも悪いかもしれないのですけど……


 大きなため息が出たのでもっと別のことを書こう。最近の仕事のことでも書こうかな。


 前に書いた日記の後で来た依頼は……えーっと……エミリオさんか。


 確か人気者にしてほしいって依頼だったはずです。そして何を血迷ったか桜井さんは、すごろく大会に出させるという決断を下したのです。


 今思えばこの時に止めるべきでしたね。本当に。


 そして桜井さんはルールの穴を探し出して、エミリオさんを優勝させることができました。


 でももちろん人気者にはなれませんでしたね。あの勝ち方はせこいです。みんなが見たがってる試合とは全く違いましたもんね。


 ちなみにですけど、あの後にすごろくのルール変更が行われたのですよ。確か……『意図的にマスから出してはいけない』でしたっけ。追加されました。まぁ当然ですよね。


 そしてその後にエミリオさんの弟、ルナルド君に会いに行きました。


 ルナルド君はとっても良い子でした。エミリオさんがブラコンなのも理解できます。


 そしてルナルド君も納得……というか友達(らしき人)をエミリオさんが連れてきたので安心したらしいのでこの依頼は解決したんじゃないんでしょうか。


 ……すごろく大会出た意味本当にねぇな。



 そして次に来たのがメルちゃんです。今までの依頼人が男の人ばかりだったので何となく嬉しかったのを覚えてます。


 依頼はお客さんを増やす方法を考えてほしいとのことでした。


 ボクは色々な案を出したのですが桜井さんに怒られちゃいました。仕事の時はちゃんとしている桜井さんも好きですよ? はい。


 そして偵察ってことで3人で新しい店に行きました。そこで出てきたお肉はとっても美味しかったです。


 そして桜井さんがいい感じなことを言って、メルちゃんのお店は喫茶店となりました。


 売り上げの伸びたらしいですし、依頼は解決したってことでいいですよね。


 そして……ボク達はアルバイトをしました。


 男用の服がなかったらしいので、桜井さんを女の子にしました。


 ボクは別に女の子が好きって訳じゃないんですけど、桜井さんの女バージョンは本当に可愛かったっすね。惚れました。


 あと……桜井さんがボクの身体をチラチラ見てきたのは嬉しかったっすね。見たいのならいくらでも見せてあげるのに……あの人はバレないように見てくるんだから……かわいい。


 そして働いて……バイトが見つかったそうなのでバイト生活は終了となりました。


 ボクはとっても楽しかったので、もう少し働きたかったのですが……


 こんなものかな。そうだ、メルちゃんから来た手紙についても書こう。



 ……メルちゃんの手紙を持ってきたっす。全文を写そう。


 ───


 クローバーちゃん、ホームズへ


 アルバイトの手伝いありがとう! 実は働きたいって言ってくれた人が現れたんだ! だからもう手伝いはしなくていいよ! 報酬はまた今度支払うね!


 本当にありがとうね。お幸せにね


 メルより



 ──


 一見普通の手紙です。はい。桜井さんもただの手紙って思ったでしょう。


 だが!! 最後の文に注目してほしい!!


 お幸せにね


 ……これ。別にメルちゃんにはボクが桜井さんのこと好きーとか一言も言ってない。


 ただの仕事仲間だと思われてると思ってたのですが……これ結婚した人に言う言葉っすよ?


 ねぇ! もう! めっちゃバレてるやん!!そんなに好き好きオーラでも出てましたかね!?


 ……だと言うのに……メルちゃんですら気づいてるのに……何であの人は気が付かないんでしょうか?


 本当に謎っす。


 一応ボクと桜井さんは一緒に住んでるんすよ?


 だというのに全く手を出してくる気配すらない。……たまにトイレに長く籠る時あるけど。


 はぁ……異性として見られてないんすかね。


 なんかイラついてきたので書くの終わりにしよ。






 明日も頑張れ。ボク。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る