めっちゃすっきゃねん
秋の桜子
第1話
賑やかな ファミレス 喧騒その中で
彼女に言われた
うちの事 すき?
うん大好き と答えた 標準語世界の僕
うーん 嬉しいねんけど
なんやたらん と関西弁世界の彼女は言う
え?何が足らないの? あわてて僕は聞く
どこが? 大好きって言ったよ
足りないの?
すごく好きだ 物凄く好きだ
大好きだよと
慌てて 言葉を継ぎ足した
アハハ ありがとう 嬉しいわ
彼女は笑って僕を見る
運ばれてきた イチゴのパフェの
白い生クリームを
スプーンですくい
赤い唇に運ぶ君
真っ赤なイチゴ
笑顔で口にする
美味しいと動く
君の赤い唇
それを眺めていると
ドキドキ どっくん
どぎまぎ どっくん
胸が ざわめく
気持ちがゆれる
僕は 慌ててコーヒーを飲み干して
お代わりを入れに 立ち上がる
どうしよう どうしよう
大好きだけじゃ 足りないよ
僕がそれに 気づいてしまった
ドキドキどっくん
どぎまぎ どっくん
愛してる て言った方が良いのかな
どきどき ドキドキ しているよ
ワンランク上の その言葉
愛してる
駄目だ 照れてしまって 言えない
彼女の事が 好きで 好きで
大好きだけど
愛してる
おおぅ!緊張してきた
どうしよう どうしたら 言える?
コーヒーコーナーで
小声で練習 試みる
ドキドキどっくん
どぎまぎ どっくん
あ あ、い……駄目だ 固まって出てくる
愛してるー!
心の中では 底から叫んでいるのにさ
どうして 言葉に 出て来ない
ドキドキどっくん
どぎまぎどっくん
二杯目のコーヒー運んで
なに食わぬ顔して 席につく
ねえ ねえ ちょっと聞いて
向かい席に座る 彼女が
僕に 顔を近づけてきた
うふふ 私ね
いたずらっ子みたいに
君は笑う 無邪気に笑う
甘いクリームの香りがする
ドキドキ ドキドキ
緊張感が 半端ない
喉が 何故か 乾いてくるよ
ドキドキどっくん
どぎまぎどっくん
彼女の赤い唇が
愛らしく動いて
あんたの事 めっちゃすっきゃねん
めーっちゃっ!すっきゃねん うふふ
天使の笑顔で 僕に攻撃してきたよ
めっちゃすっきゃねんって!
めっちゃすっきゃねんって!
どう返したら いいのだー!
おおぅ!ズキューン!と射ぬかれた
彼女の とどめの一言だった。
めっちゃすっきゃねん 秋の桜子 @kosakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます