第四話: 疑念
名門のユーヴァルダン学園といっても、食堂の利用方法にそこまで違いはない。というか、わざわざ特徴を持たせる必要もないだろう。
支払う値段に応じて相応の昼食を提供してもらえる仕組みになっており、学園の一角には雑貨や軽食品を売り出している売店もいくつかある。
しかし、元々は金持ちの我が儘から生まれたこともあって、一番安いものでも一般的な昼食代の、おおよそ倍近い値段を取っている。
お坊ちゃん、お嬢様にとっては大した違いはないのだが、苦学生と呼ばれる人たちにはかなり懐を圧迫することもあって、利用しないという人が少なくはない。
では、お金の無い生徒たちはどうやって昼食を取っているのかと言うと、簡潔に言えば弁当である。
優先的に座席へ座れない等の劣遇はあるものの、ユーヴァルダン学園では弁当の持ち込みが許されているのであった。
「――それでさあ、二人は実際の所、マリーちゃんのことをどう思っているのかな?」
午前中の授業も終わり、昼休みに入った後。今朝方用意したサンドイッチに手を伸ばしていたマーティは、同じく食事を取っているイアリスとカズマに率直な意見を尋ねた。
先日新しく購入した本から顔をあげたイアリスは、栞を挟んで自らの昼食に手を伸ばす。少しばかり固くなったパンに噛り付くと、ふむ、と首を傾げた。
「どう思っていると聞かれても、私としてはどうも思っていないとしか答えられないぞ」
はっきりと断言するイアリスに、マーティは目を瞬かせた。
「あれ、イアリスって、けっこうマリーちゃんのこと見ていたわよね? 私はてっきりマリーちゃんに興味が湧いているものだとばっかり……」
「興味が無いと言えば嘘になるが、だからといってそういう意味ではない。それに、私が見ているのはあの子ではなく、あの子の傍に付き従っているサララとかいう槍使いの方だ」
「ああ、この前イアリスと戦い合ったあの子か……すげえ良い動きしていた覚えがあるぞ」
昨日用意しておいたパンを冷めたスープに浸しながら、カズマは納得して頷いた。
……あの日の出来事を引き起こしてしまった張本人とあって、カズマの脳裏には嫌と言う程刻み込まれてしまっていた。
「確か、マリーちゃんの付き人だったか? 同じぐらいの年齢だろうに、よくもまああれだけ甲斐甲斐しくなれるもんだ」
「正確に言えば付き人ではないらしいが、やっていることは付き人だな。それも、ずいぶんと熱を入れているようだ……正直、勿体ないと私は思っている」
「ああ、それは俺も同じこと思った。すげえもったいねえよなあ……あれだけ立ち回れるなら、探究者じゃなくても色々な働き口が有りそうなんだけどなあ」
――本当に、勿体ない。
そうため息を零すカズマに、イアリスは「ああ、全くだ」力強く頷く。
苦笑するしかないマーティと違って、イアリスはサララのことを高く評価しているようだ。
……まあ、二人の評価を抜きにしても、客観的に見れば、それは当然の話である。
全力ではないとはいえ、あの『妖精』こと『ロベルダ・イアリス』と打ち合って無傷でいられただけでなく、反撃すら放てるだけの実力を示したのだ。
イアリスは、見た目だけの女ではない。
学園内において有数の実力者として一目置かれているだけでなく、学問の面においても優秀な成績を残している才女である。
そして、その才女の猛攻を、サララは全て受け切った。
探究者としても内外にその名を轟かせているイアリスは、当たり前だが己の実力を熟知している。
だからこそ、イアリスはサララのことを心から称賛し、「あの槍さばきは、実に見事なものだ」一方的に攻撃されたことを水に流したのだ。
「しかし、人を見る目はない。見てくれが良いだけの主に心酔しているようでは駄目だな。アレではせっかくの才能も生かすことが出来そうにない」
……反面、イアリスのマリーに対する評価はかなり低かった。
しかし、それもある意味当然の結果であった。何故なら、そう断言せざるを得ないことをしたからだ。
「いやに辛辣な評価じゃねえか」
「辛辣のつもりはない。一切の贔屓も何もない、事実を元にした、私個人が抱く、ありのままの評価だ」
目を細めたカズマからのからかいを、イアリスはきっぱりと切って捨てる。小さく千切ったパンを口に放り込みながら、イアリスは閉じていた本を開く。
けれども……その視線が本に向けられた様子は一切ない。記された文字列の向こうにある何かを眺めているかのように、その目は文字を見ていなかった。
「だが、私の主観が考慮されていないかと問われれば、否とは言えない」
「……自覚しているんなら、私は何も言わないわよ」
素直なのか、ひねくれているのか、いまいち分かりにくい返答だ。
嘘を付けない相変わらずなイアリスに、マーティははっきりと苦笑した。ジロリ、とイアリスから睨まれるが、マーティにとっては知ったことでは無かった。
「……そもそも、だ。探究者を目指す学科に入ったというのに、剣の一つも振れないとはどういうことだ。私はそこが納得できん」
「なんだ、やっぱり気に入らないんじゃねえか」
ニヤニヤと笑みを浮かべるカズマに、「――ええい、茶化すな!」イアリスは頬を紅潮させた。
「魔法術は使えない、気功術も使えない、基礎的体力や筋力も低い。私としては、なぜここに来たのだと疑問を呈したくて仕方がないのが正直なところだ」
「ああ、うん、それは確かに私も同じこと思ったわよ」
半ば苛立ちをぶつけるが如く言い放ったイアリスの評価に、マーティも同意する。それを見たカズマが、おや、とマーティを見やった。
「あれ、お前はけっこうマリーちゃんのこと気に入っていたんじゃなかったか?」
「気に入っているわよ。だって可愛いんだもの……でも、ソレとコレとは別。探究者として見るんなら、マリーちゃんは下の下なのは事実でしょ」
――だったら、仕方がないじゃない。
マーティはお手上げと言わんばかりに両手をあげた。
「小柄な上に、気功術は使えない。剣を振るうことはおろか、プレートを身に着けただけで息切れするし、魔法術だって一つも習得していない。いくら何でも擁護のしようがないでしょ」
「おいおい、お前の方がずっと辛辣じゃないか」
ゲラゲラとカズマは笑い声をあげる。けれども、「……あ、そういえば思い出した」すぐにその笑みを引っ込めると、二人の顔を見やった。
「そのマリーちゃんと言えば、ココに来る前に等々力先生とデュン先生に連れて行かれるのを見たぞ。デュン先生、顔を真っ赤にして怒っていたし、もしかしたら成績不良で退学になるのかもな」
「え、本当?」
「こんなしょうもないことで嘘を言ってどうするんだよ……まあ、退学は言い過ぎだが、何かしら言われるだろ」
驚きに目を見開くマーティに、カズマははっきりと頷いた。ちらりと、視線だけを向けてくるイアリスに気づきながらも、カズマは冷めたスープを啜った。
「他の学科だったらいいんだが、さすがに探究者を目指すうえで、あれだけ最低評価付けられたら、『お嬢様』でもどうにもならんだろうな」
カズマの言葉に、マーティとイアリスは何も言わなかった。
つまるところ、マリーに対する評価は、三人ともそう変わりがないと言っているに等しかった。
――力強くテーブルを叩く、女性の手。
昼休みも半ばに差し掛かったユーヴァルダン学園の、職員専用の一室。そこに、マリー、サララ、等々力、デュンの、四人の姿があった。
さすがは多数の金持ちが在籍している学園というべきなのだろう。
部屋には上等なソファーの他にもふかふかの絨毯が敷かれ、壁にはこれまた趣味の良さそうな絵が飾られている。傍に置かれた様々な調度品のそのどれもが、一目で高価だと分かるモノばかりであった。
ともすれば、気圧されてしまうのではないかと思ってしまうぐらいに豪勢な作りの室内。本当にここは学校なのかと思ってしまうような空間であったが、マリーの視線は今しがたイイ音をたてたデュンの手に注がれていた。
(あれだけ強く叩いて痛くないのだろうか?)
内心そんなことを考えていたマリーは、激情を堪えているデュンを見て、首を傾げた。
半ば無理やり引っ張り込まれたマリーにとって、デュンが抱いている怒りの半分も想像出来なかった。
「手は大丈夫かい? けっこうイイ音したけど、ヒビでも入っていたら後が面倒だぞ」
マリーからすれば、それは純粋な優しさしかなかった。
からかう気持ちなど微塵も無い、ただデュンの手を案じただけであった。
「――っ!」
しかし、その思いはデュンに伝わらなかった。顔どころか全身を怒りで紅潮させていくデュンは、声なき声で唇を震わせる。
そして……その怒りが限界を超えたデュンは、ソファーから身を乗り出して腕を振り上げ――。
「――待った」
マリーへと振り下ろされようとしている手を、等々力が寸でのところで捕まえていた。思わず目を白黒させるデュンに、等々力がグッと顔を近づけた。
「それをする以上、私は君を庇いきれなくなる。ここは、私に預けてくれないかい?」
「……え、ええ、ごめんなさい」
口調こそ穏やかではあるものの、普段とは掛け離れた雰囲気に、デュンは声を詰まらせながら静かに身体の力を抜く。噴火のような怒りは、いつの間にか治まっていた。
等々力が掴んでいたデュンの腕を放すと、デュンは静かにソファーへ腰を下ろした。それを確認した等々力は、同じように腰を下ろして深々とため息を吐くと……マリーへと向き直った。
「すみません、マリーさん。彼女は少し情熱的な性格でして、時々方向性を誤ってしまう時があるんです。どうかここは私の顔に免じて、彼女を許してやってはくれないでしょうか?」
「……まあ、何もされたわけじゃないし、俺はいいよ」
それ以前に、だ。許してくれも許さないも何も、何が何だか分からないから怒ろうにも怒れないんだけどなあ。
真摯に頭を下げる等々力とデュンを見て、マリーは困ったように微笑む。
半ば圧し掛かるようにして抱き締めていたサララから身を起こすと、喜びと困惑で奇妙な顔になっているサララの両手を握りしめた。
「ということだ、サララ。俺は何も気にしてはいないし、お前に何かをしてほしいとは思っていない……分かったな?」
「……うん、分かった」
心ここに有らず。赤らんだ頬をそのままに、呆けた様子で頷くサララに、マリーは目を細めた。
「本当に分かったんだな? それじゃあ、傍に置いてある槍には手を伸ばさないと俺に誓えるか?」
「うん、手を伸ばさない」
「よし、それじゃあ、しばらく俺の膝で休む権利を与えてやろう。非売品だから、有り難く味わうがいい」
ドレスの裾を伸ばして膝を叩くと、サララは満面の笑みでそこに頭を預けた。二人を乗せたソファーは、例えサララが横になっても余裕がある程に大きい。
鼻先を埋める様にして腹に顔を押し付けてくるサララに何とも複雑な思いを抱きつつ、マリーは等々力を見やった。
「それで、結局のところ、そこのお姉さんが怒っていた理由は何だ?」
「……言ってしまえば、この前の体力テストの成績があまりに悪かったから、ということですよ」
眼前に突如現れた近寄りがたい空気に呆然としていた等々力であったが、気を取り直すのは早かった。
さすがは、ユーヴァルダン学園に勤めているだけのことはある。
「ご存じのはずでしょうけど、あなたはユーヴァルダン学園の生徒として、『特に優秀な成績を』示して貰わなければなりません」
「……ああ、うん、やっぱり来たか」
ようやく合点がいったと、マリーは納得してから改めて苦笑した。
それに関しては等々力に言われずとも、その内誰かから釘を刺されるだろうなと思っていたことなので、特に驚くことではなかった。
「私たちとしても、その『見返りとして』あなたに対して様々な優遇処置を行っています。付き人と言う形でサララさんの同行許可が出ているのも、その一つです……それは事前に説明したはずですよね、『マリー・アレクサンドリア』さん?」
……そう、既にお気づきの方が居たのかもしれないが、実は『マリー・アレクサンドリア』とは、『どうせならおしゃれな名前を付け足したら?』という意見を元に生まれた、仮の名前に過ぎない。
本当の名前は、ただのマリー。
巷では『ブラッディ・マリー』とも呼ばれ、ラビアン・ローズの主に君臨する、あのマリーである。いやあ、意外と説明されないと気付かないものである。
「まあ、それは俺も分かっているんだけどさあ……」
カリカリと、マリーは困ったように頭を掻いた。それに関しても、マリーは等々力に言われずとも理解していた。
なので、マリーも最初の内は頑張ろうと思っていた……のだが。
「勉強は無理でも、実技の部分で挽回しようと思っていたんだが、ちょっと問題が発生してなあ……それを解決出来ない限り、どうしようもないんだ」
「問題、ですか?」
いったい、何が。そう言いたげに首を傾げる等々力の横で、デュンも不思議そうに首を傾げる。「……別に、特別変わったことはしていないわよ」と呟いたデュンに、等々力も頷いた。
「確か、持久力・瞬発力のテストと、バーベルを使った筋力テスト、得意の武具を使った演武テスト、そして希望者だけの魔法術テスト……ですよね。体調でも崩されていたのでしたら、もっと自己管理を徹底していただくほかありませんが……」
「あ、いや、別に体調が悪かったとか、そういうわけじゃねえから」
慌てて首と手を横に振って否定するマリーに、等々力とデュンはますます困惑に首を傾げた。
「それでしたら、いったい何の問題が?」
率直に尋ねられたマリーは、しばし沈黙を続けた後……うん、と顔をあげた。
「ぶっちゃけ、テストの内容が駄目だ」
……沈黙が、室内を流れた。
「……テストの内容を易しくしろという注文でしたら、今すぐ学園から出て行ってもらった後に、これまでに掛かった費用を請求させていただきますが、よろしいでしょうか?」
「いやいやいや、違う違う。俺が言いたいのはそういうことじゃなくて、テストを受けるにあたっての条件を変えてほしいってだけなんだよ」
笑顔をそのままに、静かにソファーから腰をあげた等々力ではあったが、次いでマリーから言われた言葉に、またもや困惑に目を瞬かせた。
それは、一緒に立ち上がっていたデュンも同様であった。
「……条件、ですか? 申し訳ありませんが、私にはマリーさんが言おうとしていることがいまいち理解出来ません。もう少し、具体的に仰ってもらえますか?」
「それを今から話そうとしていたんだよ」
再び腰を下ろした等々力たちを見て、マリーは「まあ、俺が言いたいのは、だな」と、頬を掻いた。
「テストを受けるにあたって、魔力の使用許可が欲しいんだよ」
「……え?」
これまでで最も大量の疑問符を頭上に飛ばしている二人に、マリーは「いや、だからさあ……」と言葉を続けた。
「持久力も、瞬発力も、筋力も、演武も、許されているのは気功術の使用のみだろ? それをされると、もう俺にはどうしようもないんだよ。多少は評価下げられてもいいから、魔力の使用許可を出してくれねえかな?」
「……え? いや、え? え、チョット、ちょっと待ってください」
マリーの言っていることが、何一つ理解出来ない。
同じ言語を話しているのに、その内容が全く理解出来ないという異様な感覚を覚えた等々力は、声を詰まらせながらマリーの提案を遮ると……ゆっくりと、マリーの言ったことを頭の中で整理し始めた。
――魔力の使用許可。
マリーは、確かにそう言った。それは、等々力もしっかり理解していた。隣を見やれば、デュンも頷いている。
……どうやら、己の耳がおかしくなったのではないということを、等々力は理解する。けれども、直後に……等々力は首を傾げた。
なぜ、魔力なのだろうか。それが、等々力には全く理解出来なかった。
(確かに、体力テストでは気功術の使用許可は出るけど、魔力の使用許可は言われない。けれども、何で魔力なんだ? 魔力による身体機能のブーストなんて、有って無いようなものだったはずだが……)
――魔力による身体能力の強化。
それを行う魔法術士の存在は、等々力も知っている。気功の力ではなく、魔力によって身体機能を底上げする探究者の存在も、等々力は把握している。
しかし、魔力による身体機能の強化は、あくまで魔法術を行使するにおいての副産物でしかなく、ついでに行われる程度の事なのだ。
何故なら、気功術に比べればその恩恵は微々たるもの。言うなれば、無いよりは有った方がマシという程度のものでしかないからだ。
はっきり事実を述べるのであれば、魔力による身体強化を意識的に行う酔狂なやつはほとんどいない。
だから、例え魔力使用の許可を出したとしても、だ。ユーヴァルダン学園に通う探究者志望の生徒は、まず意識的にソレは行わない。
わざわざ恩恵の少ない魔力を利用するより、気功術の方がはるかに強大なアドバンテージを得られる……それを、生徒たちは知っているからだ。
(もしかして、マリーさんは魔法術による身体強化を行っている……いや、違う。それなら魔法術のテストで評価が出ているはずだ……魔力を使用してどうするというんだろうか……見当もつかないぞ)
答えの出ない堂々巡りの疑問に、等々力たちは唸り声をあげる。
しかし、いくら考えたところで正解が出るはずもない。故に、仕方なく、「……よし、分かりました」等々力は納得することにした。
「ですが、その許可が下りるのは次回のテスト時になります。さすがに一度生徒たちの前で最低点を叩き出しておきながら、後日になって高評価になりました……では、いくら何でも疑ってくれと言っているようなものですからね」
「まあ、それは俺も分かっているさ……だけど、どうしようか。言っておくが、勉強してそっちの方面で結果を出せと言われても無理だからな」
事情は何であれ、結果さえ出してくれたら学園側にとってはそれでいい。
しかし、このタイミングで良い結果を出されても、周囲から不正を疑われてしまうのは目に見えている。
一度生徒たちの前で結果を出してしまった以上、同じ方法で結果を出しても怪しまれてしまうだろう。では、どうするのかというと――。
「もうしばらくしたら、ユーヴァルダン学園伝統の、ダンジョンで行う試験……というか、授業があります」
「試験?」
ええ、そうです。等々力は頷いた。
「詳細は後日伝えますが、分かりやすく言えば、『制限時間内にどれだけエネルギーを持ちかえられるか』を競うレースのようなものです。そこで今度こそ、マリーさんには優秀な成績をおさめてください」
「……なんだ、俺向きの分かりやすい試験があるじゃないか」
ニヤリと、マリーは意地の悪い笑みを浮かべた。
短い期間とはいえ、マリーもここ最近は鬱憤が溜まって来ているのだ。
揶揄されること自体はいいのだが、その相手が自分よりも十以上の年下となれば……色々と思うところがある。
――ちょうどいい、ここしばらくの鬱憤を晴らしてやるぜ。
そんな思いでニヤニヤと笑みを浮かべるマリーを見て……安堵の思いが込み上げてきた等々力も、にこやかな笑みを浮かべた。
「期待していますよ、『ブラッディ・マリー』さん」
「……その二つ名で俺を呼ぶのは、ちょっと止めてくれませんかねえ」
「え?」
目を瞬かせる等々力とデュンを見て……マリーは深々とため息を吐くと、寝息を立てているサララの頭を、そっと撫でた。
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