転生少女のチートな人生は前途多難。

三月 深

プロローグ

はじめまして。


私は 池崎 皐月、現在在住は長野県と新潟県の県境のあたり。


生まれはまた別の場所ですが、ある事情により、今ここ、長野県に住んでます。


そうそう!


これでも私、それなりに優等生だったんですよ?先生のミスをなすりつけられて、転校させられるまでは。


いまは長野県あたりの高校に通って独り暮らししてます。(今は一緒に登下校する友人待ってます。)


ちなみに私にミスをなすりつけた先生は大出世で国立大の名誉校長になっちゃいました。


もう、困ったものですよね!


「ねぇ皐月、それ誰に話してんの?」

「うわぁなにっ!ってのりちゃんか、びっくりした~!」


突然後ろから話しかけてきた彼女は藤波 律香、通称のりちゃん。


転校してきたばかりの私の唯一の友達です。


「だから、誰に話してんのってば~!」

「あぁごめんごめん。生徒会の仕事終わった?」

「終わった~!ねぇ聞いてよ~!今日もまた生徒会長と会長の彼女が生徒会室でイチャイチャしててさぁ~」


のりちゃんは生徒会の経理担当で、いわば生徒会のお財布の口です。


相当必要なものでないかぎり、彼女のお財布の口はあかないと噂で、地獄の番人だとか、悪魔だとか、色々な二つ名がついているのだそうで。


「それでさぁ、こっちはあんたのミスなおしてるってのにずっとイチャイチャしててね~?」

「はいはいそーですか~」

「もう、話し聞いてよ~!ってねぇ、あの子一人?」

「ん?」


のりちゃんの視線の先にいたのは一人の男の子。


歳は5歳くらいでしょうか?


ころころ転がっていくボールを追いかけてトラックの走る交差点にっ!


キキーッッッ!


「っっ~!」


私は気づけば交差点につっこんでいました。


幸い男の子は助かったようです。


あぁ、今男の子のお母さんらしき人が走ってきます。


少しお腹が張っていて、妊娠しているようですね。


もう男の子の手を離しちゃいけませんよ?


あれっ?なんか身体がきしむな・・・。


腕が真っ赤なうえに変な方向に曲がってるし・・・。


のりちゃんが真っ青な顔で電話をしています。


あぁ、結構痛いかも…。


私が池崎皐月の最後の記憶は、少しずつブラックアウトしていく視界と、救急車のサイレンでした――――。





「え?私、死んだの?」


「はい。そうでございます。」


聞こえてきたのは、澄んだ綺麗な凛とした声。


はっとして振り返ると、そこにはとてもこの世の者とは思えない美しい女性が立っていた。


「きれい...。」


あまりの美しさに心の声がもれる。


「ありがとうございます。」


ちょっと困ったようにお礼を言って微笑むその女性は、まるで天使のようだった。


「現在の状況を説明させて頂いてもよろしいでしょうか?」


申し訳なさそうに彼女は言う。


「え、あっ、はい。」


思考が停止していたようだ。


えっと、状況といったか。


「わたくしは、天使のセラと申します。率直に申し上げさせて頂きますと池崎様は現在から2日前に死亡なさりました。」


衝撃の事実。


全然驚かないし、夢?


「あ!男の子は?大丈夫・・・だよね?」


夢でもいいから彼の安全は確保したい。


ほら、やっぱり命かけて守ったし?


「かすり傷ですんだようです。けれど、池崎様の血まみれ姿をみてしまったので、池崎様に命を救って頂いたということは覚えていないですね。」

「そっか、よかったな・・・」


ちゃんと守れて。


なんか、結構な血まみれ見せちゃったのは悪かったけど・・・。


てか、夢ってことは昏睡状態?


お母さんお父さん来てるかな?


だとしたらヤバい!


ミス押し付けられて転校したうえにトラックにひかれて昏睡とかお母さん気絶しちゃう!


はやく起きなきゃ!


「セラ…さん?でいいのかな?夢に付き合ってくれてありがとう。でも私、もう起きなきゃいけないの。私って今、どこかケガして病院にいたりするのかな?あんまり大ケガじゃないといいなぁ。」


トラックの恐怖をまぎらわせるようにいう私。


トラック恐怖症だね。


「夢じゃありませんよ。あなたはまた、人を守って死んだのですね…。」


とても悲しげにセラさんは言う。


「ごめんなさい。もう、転生のお時間です。さようなら、新たな人生を楽しんで下さいね?そして私にまた、沢山は話を聞かせてください。」


また悲しげな笑顔をして言うセラさん。


また人を守って死ぬ?転生?まあいっか。


じゃあね、セラさん。


お元気で。そして、おはよう私。







ぱちっと目をあける。


見えるのは少しボヤけた天井。


「きゃあ!目をあけたわ~!」


なんだか、知らない綺麗な人が私を見て騒いでる。


バタバタと走って、どこかへいってしまったが大丈夫だろうか?


ここは、どこだろう?


周りを見ようにも、首がまわらない。


余程のケガなのか?


後遺症残らないといいけど・・・。


あれ?さっきの綺麗な人と入れ違いにメイド服(清楚系)をきた歳を召した女性が入ってきた。


勇気を出して、聞いてみた、つもりだった。


「あう?(すいません、ここはどこですか?)」


口からでたのは「あう?」の二文字だけ。


本当にどういうこと?


私の「あう?」を無視して、お年寄りは私に向かって自己紹介をはじめてしまった。


「はじめまして、お嬢様。わたくしはこのリウム家に仕える召し使いのヒャルラと申します。よろしくお願い致しますね?小さな可愛いお嬢様♪」


訳がわからない。


召し使いがいるって確実に病院じゃないよね!?


しかも小さな可愛いお嬢様ってどういうこと!?


可愛いとか小さいとか、女子高生は流石にアウトじゃない!?


あぁ、頭がオーバーヒートしそう。


とその時、私の頭にセラさんの言葉が浮かんだ。「死」と「転生」と「新たな人生」だ。


そして私が可能性として考えられたのは「異世界転生」の五文字だった。


そうだとしたらとんでもないことだ。


セラさんが本当に天使だったことになる。


でも、そうだとしたら私は・・・。


だめだ、頭を使い過ぎた。


物凄く眠たい・・・。


おやすみ・・なさい・・・。


次に起きたときにはいつもの池崎皐月だといいなぁ。

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