第3話


「頭が良くて……」


 要領も顔も良い、ヤローだって言ったら、あんたはどんな顔するんッスかね?


「俺にはこれっぽっちも、望みはない相手ッスよ」


「……そっか」


「……………………」


 ――なんッスか、その顔は。


 口角を上げたままで再び目を閉じた先輩を、叩き起こしてやりたい。


 けど。


「……臆病だよなぁー」


 小さく呟いて、静かな寝息をたて始めた先輩の額に指先で触れる。


「これって、俺だけなんスか?」



 ねぇ、先輩。




 ねぇ。


 それとも――。



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