第19話

幽玄を追う射干玉と薔薇の頰

盲信の果て彼は何見ゆる


噪ぐ新緑目に沁みて、低き蒼天白湛う

萌えし若葉に雫落ち、柔き梢がふと撓む

温く纏わる雨の香を、ひとは手伸ばし口付けた

鮮麗に焼付く緋色、傘の花

しとり、艶めく濡れた髪

弾けし泥濘草の陰、廻る舞踏に華添える


張り詰めた、紫電ふつりと迸る

刹那痺るる指先と、眩む脳髄ちかちかと

描く正弦酷く狂れ、黒き雫も糸を引き

まみゆる内側、紅に、燻りてぱっと燃え果てん



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