第3話

【ひらめく】


 ずくり、ひんやりとした刃が、僕の肉を裂いてゆくのがありありと判る

 鋼の冷たさを塗りつぶすように甘美な痛みが滲み出るという事も

 冷たく硬い銀をしとどに濡らす生温く軟らかな紅、その目に眩しい色の対比は、そこだけまるで切り抜きの絵画のように酷く鮮やかで、脳髄を苛むきんと神経の張り詰めたかの感覚の中で、まるで他人事のように奇麗だ、なんて思ったのだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る