フクロウと袋

よつば

第1話

「あーなんかいいことないかな」

フクロウカフェで働く、袋幸太郎(ふくろこうたろう)は常々思っていた。

袋は幸せを呼んでくるとされる「フクロウ」といつもいるのに全然幸せだと感じたことがなかった。

名前も「幸太郎」なのに全然幸せじゃない、そんな日常を送っていた。


袋は30歳で彼女はいない。

そもそも彼女がいたことはない。


大学生の時、友達と一緒にフクロウカフェのバイトを始めた。

フクロウが特別好きなわけではなく、友達に誘われたから始めた。


袋は人とコミュニケーションをとることが元来苦手であった。

社会勉強とお金をもらえるバイトを探していたとき、フクロウカフェの誘いがあった。


実際に働いてみると、フクロウを介して人と話すことができ、充実した生活を送ることができた。


結局、大学を卒業するまでバイトを続けることになった。そこの店長に気に入られ、正社員として働くことになった。


働き始めて8年。充実感はあったが、何か物足りない感じがしていた。


福を呼ぶとされるフクロウと一緒にいるのに幸せな感じがしない。

まぁそんなものかと過ごしてきたが、ある事件がおこり、転機を迎えた。


いつものようにフクロウのお世話をしていると、体がかゆいことに気づいた。

袋「汗疹かな」

と考えた。

仕事を終えて家に帰ると、かゆみが収まった。


翌日、いつものようにフクロウのお世話になりしていると、またかゆみが見られた。

袋「もしかして」

休日に病院受診をした。アレルギーの検査だ。


医師からフクロウアレルギーがあることを告げられた。

すごい楽しいわけではなかったが、1番長続きした事柄だっただけに仕事を辞めたくはないと思った。


しかし日増しにアレルギー反応が出るようになって、袋「限界かな」と思うようになった。


そんなある日、フクロウカフェにあるお客さんがきた。





そのお客さんを見たとき、胸の高鳴りが収まらなくなる自分を袋は感じ取った。


そのお客さんである、女性は、

年齢は25、6。身長は155cmくらいで、細身の体型。髪型はボブで、丸顔。笑顔になると目が細くなるタイプであった。


女性「すみません」

袋「はい」

女性「友達の紹介で始めてきたんですが、フクロウさわれますか?」

袋「もちろんです。時間表と料金はこちらになります」

女性「ありがとうございます」


袋はその女性に、フクロウについての説明をした。扱い方法などを伝えた。


思い起こせば、高校1年生の春、入学式のときにある女性に一目惚れをした。

その女性にそっくりだ。


意を決して、フクロウと戯れる女性に名前を聞いた。

女性「烏丸といいます」


袋は唖然とした。フクロウの天敵は烏だからだ。


名前を聞かなければよかった。

フクロウみたいな名前の私と、からすの名が入った女性。

相性は最悪なのではないかと思った。



最終的に二人は付き合うことになった。


フクロウアレルギーはなぜか治り、二人でフクロウを飼うことになった。


フクロウカフェであって話すことでお互いの趣味などで共通点があったり、会話のペースがあった。


袋と烏丸。

フクロウがきっかけで出会うことになった二人。


ちなみに烏丸の下の名前は、海(うみ)。


フクロウが福を読んできたに違いない!

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フクロウと袋 よつば @yotubanomori46

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