第24話「4月6日」
桜は咲いてから1週間程度もたたないうちに散ってしまう。そしてまた来年咲くころを待ちつつ眠るのだ。
だから私が今眠ることも次に咲くため必要なこと。長い長い眠りであろうと、今
見えているこの景色を忘れ去ることになろうとも、全ては次の目覚めで美しく咲く為に必要なことなのだ。
そしてゆっくりと、私は、目を閉じた。
「さっさと起きなさい」
母親の怒声で目が覚めた。やはり今日もゆっくりと眠ることは許されないらしい。
人間は桜と違う。今目覚めているこの世界で咲くことが必要なのだ。
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