第9話
ドアノブは意外と簡単に外れた。どうやら僕たちが思っていた異常にもろくなっていたらしい。
まぁ、僕たちはそもそもこの部屋には入らないように言われていたから、ずっと『壊さないように』と必死になっていた。
だから、どれくらい簡単に壊れるか……なんて知るよしもないのだけど。
「まぁ、龍紀自身の握力も関係あるとは思うけど」
「……俺はそんなに力を入れていない。むしろ、ちょっと力を入れただけで簡単に取れた。つまり、元々この扉自体古かったんだろ」
龍紀さんは刹那さんの言葉に「心外だ」と言わんばかりに答えた。
「まっ、最初に見た感じからそんな気はしていたからいいんだけどさ。とりあえず、おっ邪魔しまーす」
「あっ、おい」
刹那さんは意気揚々と部屋へと入っていき、そんな刹那さんの後に僕たちも付いていった。
■ ■ ■ ■ ■
「なっ……なんだこの部屋」
「すんごいね。壁一面に紙が貼られているし……コレは、何かのメモかな?」
この部屋に『電気』なんてモノはなかった。あるのは使い古された『ランプ』だけ。しかも、これだけ紙が貼られているにも関わらず『火』を使うモノのようだ。
「ん? うわぁ、壁一面ってだけじゃなくて窓にまで貼ってあるよ」
「一応、窓はあるんだな」
刹那さんはそう言って窓を開けた。
「……こういった場合。アニメとか漫画だとこの部屋全体に張り巡らされている紙一枚一枚が大きな『陣』になっている事があるらしいが……この部屋は違う様だな。って、刹那どうした?」
「……いや、そういう話は俺が窓を開ける前にしてくれるかな?」
「? いや、特に大きな変化がないから問題ないだろ」
「そういう問題じゃないよ。大体、そういう時は大抵『トラップ』で……って、うわっ!」
「大丈夫ですか!」
龍紀さんの言葉に抗議しようとした刹那さんが一歩踏み出したところで、自分の目の前に落ちた紙に気がつかず、そのまま踏みつけて足を滑らせた。
「だっ、大丈夫」
転びはしなかったものの、一瞬滑った事に驚いたのか、刹那さんは心臓の辺りを掴んでいる。
「足元にも色々な『図』が書かれたモノが散乱しているな。気をつけろ」
「はっ、はい」
今までよく気がつかなかったな……と、僕自身。自分に呆れそうになっていたけど、よく考えたらこんなにこの部屋の奥まで来たことがなかった。
「まぁ。とりあえず、宗玄さんからもらった紙に書かれている『図』を探して……」
龍紀さんが僕たちにそう指示を出そうとした瞬間――。
「え」
「どうした?」
今。一瞬、何かピカッと光った様な……。
「ううん、なんでも……」
僕が「ない」と言葉を続け様とした瞬間。光がさらに強くなった。
「うわっ!」
「っ」
そして、紙が散乱している床が光り出した。それは、もはや目を手で覆わなければならないほどだった――。
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