意味がわかると怖い話
柳翠
第1話 喫茶店
会社帰りの会社員である僕はいつも通う喫茶店に入った。この時期は雨が降っていて傘を差す人が込み合っている。
傘に着いた水をバサバサと叩くと水滴が顔に飛んできた。
この時間帯喫茶店にいるのは見る限り大学生2人組の女子と1人窓際で座る僕と同じく会社帰りの人がスーツ姿で鎮座しているだけであとは特に何も無い。
僕は女子大生の座る席の2つ横に座り店長にコーヒーを頼む。
しばらく店内に静謐が訪れるがそれを破るかのように僕の席の隣の席の隣に座る女子大生が話し始める。見る限りショートヘアの美人。
「ねえ、知ってる? あそこで殺人事件あったの」
「何それ? 初耳!」
「まだ、事件自体は未発表なんだけど友達に聞いたの」
「へぇ」
相槌を打つのは僕のふたつ隣に座るロングヘアのこれまた美女。
店長がコーヒーを持ってきてそれを啜りながら聞き耳を立てる。
「なんでもね、女関係で狙われたらしいよ」
「どんなの感じ?」
「えっとねぇ、確か………二股? らしいよ」
「あー最近多いよね」
コーヒーの苦味を吟味しながら聞いているとやはり物騒な感じだった。
会社帰りの僕にとっては少し刺激が強い気がするが、やはり少し気になる。
「なんでもね、女連れこんだところ見られたらしいよ」
「それで、物騒だね」
「だよねぇ」
「なんで、その友達そんな事件のこと知ってるの?」
「なんかねお父さんが警察官で少し、誰にも言っちゃダメだよ。資料を見たらしいよ。しかも、殺人現場が隣の家で窓から見えたらしいよ。その殺す瞬間とか」
「ああ、警察官の子供って言うと、あんたと仲のいい竹口さん?」
「そうそう」
「何年生?」
「同じく2年生」
「どこに住んでるの?」
「駅前のビル。ビルだから良く見えたのかな。殺す瞬間」
「かもね。人を刺した瞬間見れるってすごいね」
僕のコーヒーが底を見せてきた時、僕はなんだか違和感を覚えた。
「ねえ、竹口さんの連絡先教えてよ」
「いいよぉ」
「ありがとう」
「なんで連絡先知りたいの?」
「いやあ、会いたいなと思って」
僕はコーヒーを飲み終える前に喫茶店を出て警察に事情を話した。翌日、テレビで流れたニュースで昨日の女子大生の顔が映っていた。
意味がわかると怖い話 柳翠 @adgjmptw0455
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます