第41話 俺は他界しちゃった~ (4)

 それを聞き和は妻へと、「う~ん」と苦慮している言葉を思わず漏らしたのだよ。


 特に今の和の収入は以前よりも不安定で安定をしていない。


 まあ、傍から見ている者達は知っての通りで、昔の杵柄ではないが、元ヤンキーだった和はこの歳……。六十に手が届く年頃になっても相変わらず気性の方が大変荒くて、他人の言葉に対して聞く耳持たずの傍若無人ぶりを披露していたのだが。たまたまお盆に帰宅をした里帰り。


 実家ではなく、もう既に他界をした祖父と祖母が住んで居た家へと里帰りをした時の宴会で、酔った従兄から。


「和~、お前~。短気で直ぐに会社の上司と揉めて喧嘩をして会社を首になるなら自営業を始めてみたらいいのではないかなぁ~?」


 と、勧められたのだよ。


「えっ? 新兄ちゃん。自営業をしてみたらどうか? と、儂も進められても、もう歳も歳だから、今更自営で会社を設立するだけの気力もないし。今の儂は家のローンを支払うだけが精一杯の生活をしている状態だから、会社の設立と運営に回すほどの資金繰りをするだけのお金もないから、儂では無理だよ……」


 和は作り笑いを浮かべながら従兄の新兄ちゃん……。


 まあ、兄ちゃんと言っても、和の歳も五十半ばを過ぎたから。新兄ちゃんはお爺さんなのだが……。


 まあ、余り関係のない話しを続けても仕方がないから話しを元に戻すのだが。従兄に自営業をしてみたら? と促された和なのだが。新兄ちゃんの話しを聞き言葉を返すと思案を始めるのだよ。


(家って貯金あったけ~? もしも仮に貯金があるなら? いくらぐらいの金額があるのだろうか?)


 取り敢えず数は自身の口に盃を当て──酒を含みながらこんなことを思案したのだ。


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