グランパラディン

ムネミツ

グランパラディン

格納庫内にそびえ立つ銀の騎士、巨大ロボットであるその騎士の名は

グランパラディン。

私は、孫の荒士こうじと共にグランパラディンを見上げていた。

「お祖父ちゃん、本当にやるのか? 俺は嫌だぜ、祖父ちゃんが死ぬなんて!」

荒士が泣きながら私の胸ぐらを掴んで訴える。 だが、何と言われようとも私の心はやり遂げると決めていた。


「泣くな荒士、祖父ちゃんはグランパラディンと一体化するだけだ。 祖父ちゃんが死ぬ時、それはダーク軍団の奴らをお前と一緒に叩きのめしてからだ!」

「……わかったよ、祖父ちゃん! 俺、頑張る!」

「良く言った、それでこそ破天の男だ! 戦いだけでなく勉強や恋愛もがんばれよ。

祖父ちゃんは、ロボットの体になってもひ孫の顔は見たいからな。 一族の血を絶やすなよ?」


地球は今、ダーク軍団に狙われている。 防衛軍も、がんばって仕事をしているが

いつまでも他人様に任せっぱなしにはできん! ダーク軍団は息子夫婦の仇だ、私達が討たねばならん。

「恋愛って、俺よくわかんねえけど頑張るよ! 約束する!」

「……不安だ、戦いに勝っても曾孫の顔が拝めるか不安だ。荒士の嫁探しもサポートせねばならんか」


私は、拳を握りしめた荒士に背を向けてグランパラディンへと走る!

すでに私の心臓はグランパラディンと連動するよう改造済み、私に反応して

グランパラディンの臍の下から牽引ビーム放出され私を吸い込む。


破天荒太郎様はてん・こうたろう、確認いたしました。これより融合オペレーションを行います』

「覚悟はできてる、やってくれ!」

私の叫びに応じて頭上からオレンジ色の液体が降ってきた、それが私が生身の体における最後の記憶となった。


私が文字通り機体に溶け込んだことで、グランパラディンの瞳に火が灯る!


ヴォォォォォッ!


この唸り声が私のロボットとしての産声、グランパラディンと文字通り一体化した事で様々な情報が流れてくる。 

中でも1番重要な情報は、宇宙から私達のいる街へ隕石と共に敵が来る報せだった。 

私は急いで、荒士に向けて牽引ビームを発射した。


「……ここが、グランパラディンの中?」

『そうだ、いきなりですまんが今から初陣だ。チュートリアル戦闘開始する』

「そんなゲームみたいに言うなよ!」


私はマニピュレーターを操り、荒士の頭に操縦用ヘッドギアを被せてから操縦席を

出して荒士を座らせて操縦席からブスッとプラグを出して孫の腰を突き荒士と席を

連結させる。

「ぎゃあっ! 何だよこれ? 頭に色々情報が流れてくるっ!」

荒士のパイロット認証と自動学習を行いつつ、グランパラディンとなった私は

我が家の格納庫の天井をぶち破って出撃した。


銀の騎士、グランパラディンとなった私は空を駆け敵の出現予測ポイントへ

向かう最中町に落ちる隕石……ではなく敵と遭遇した。

「がっはっは! 我こそはダーク軍団一の将ボーゲン! おお、あれはまさか

我らが滅ぼした王家の残党か?」


緑の肌にアジア風の甲冑を着た巨人、ボーゲンと私達は対峙した。

『いかにも、貴様らが滅ぼしたライブ星王家の一族よ! 我が名はグランパラディン

この地球を守る鋼の聖騎士なり! ボーゲン、いざ尋常に勝負!』


グランパラディンは、宇宙にあったライブ星の王家で誕生した機体。

作ったのはライブ星の女王に婿入りした我が息子、破天荒蔵はてん・こうぞうだ。

15年前、ダーク軍団に襲撃されたライブ星から孫の荒士と共に地球の私の所へ

と送られてきたのがグランパラディン。

息子夫婦は、私に後を託してライブ星と運命を共にした。


「よかろう、相手になってやる! かかって来い!」

ボーゲンが背中からトゲ付きメイスを取り出して構える。

「祖父ちゃん、あれが敵なんだね? 俺も戦うぜ、グランビーム」

荒士の叫びに応じて、私は目から黄色い破壊光線をボーゲンへと発射する!

「ふん! その程度のビームで我が鎧は貫けん! 喰らえ!」

ブロックで耐えたボーゲンがメイスを振るう!


その衝撃波が街の建物を壊しながら襲ってくる!

「あれは避けたら後ろの町がヤバいな。避けちゃだめだ! 耐えて、祖父ちゃん!」

孫の言葉に従い超高速で盾を製造し構える。

衝撃波のダメージで盾が粉砕され装甲が傷つき後ずさりするも耐える。

「負けてたまるか! グランパンチ!」

拳にナックルガードを製造し、ボーゲンへ突っ込み殴りに行く!

奴が振うメイスを右ストレートで粉砕し、左のアッパーでカチ上げる!


ボーゲンの巨体が吹っ飛び、倒れる事で町が壊れる!

……町の人々には申し訳ないが、気にせず戦わせてもらう。

「止めだ! グランハルバード!」

虚空から巨大な斧槍、グランハルバードを取り出す。

大上段にグランハルバードを構えたまま、グランハルバードへエネルギーを送る!


ボーゲンが立ち上がりかけた時と、グランハルバードの刃が青く光り輝いたタイミングで必殺の一撃を私と荒士が共に叫びながら繰り出す!

「必殺、グランチョップ!」


青く輝く斧の刃が、狙い違わずボーゲンを一刀両断する!

斧を振り下ろし、敵に背を向け残心を取ると同時にボーゲンの肉体は爆散した!

「勝ったけど、全然嬉しくないね祖父ちゃん。 でも、俺はこれからも戦うよ」


初陣を勝利で飾った私達、だが私達に勝利の喜びはなかった。

空間ゲートを開き、私達は急ぎ自宅の格納庫へと帰投した。


私達はヒーローではない、仇討ちと奴らの侵略を防ぐ為に戦う復讐者だ。

私達の戦いは続く、勝つか敗れ去るまで。

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グランパラディン ムネミツ @yukinosita

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