第23話『本心』
私は今れー君を落とすために全力になっている。
何故なら今れー君と水瀬さんが喧嘩をしている。それを知ったのは水瀬さんがれー君を呼び出した日に遡る。
あの日、れー君がまたいじめられると思い後ろをこっそりつけて行った。そしたらなんとれー君と水瀬さんがゲームの中で付き合っていることがわかった。それ故にこっちでも影ながら付き合っているのもわかった。思わずにやけてしまった。
そして水瀬さんは私がれー君とゲームで遊び始めて自分が構ってもらえてないのを不満に思い、それが爆発したのだろう。
多分れー君はそのことに気づいてない。だってもう1ヶ月になるのに未だに仲は良くなっていない。
この前なんて後ろから水瀬さんが歩いてくるのがわかったからわざと転んだ風に見せて手を繋いで見せつけるということもした。卑怯でもバレなきゃ平気。水瀬さんは勘違いをれー君は私が転んだと思った。これで大丈夫。
水瀬さんの事だしあれでもう勘違いしただろう。
私はそれからしばらくれー君と話しているが一つ気がかりなのはれー君とどれだけ話していても友達感覚のままなのはどうしてだろう?
これだけ親身に一緒に楽しめているのにどうして何も反応をしてくれないのだろう。もっと顔を赤くするとか照れたりしてくれる反応が普通ではないだろうか。
ならこっちのことを意識させてあげよう。
告白でもすればだいぶこっちに意識を裂かれるはずだ。あんな女より私を選んで欲しかった。1ヶ月仲良くなった私なら行けると思い告白することにした。
「れー君、好きです、私と付き合ってください」
放課後誰もいなくなった教室で私はれー君に告白した。
「ありがとう東流院、でもごめん」
私はそれを聞き目も前が真っ黒になった。なんで?あれだけ仲良くなったのにどうして付き合えないの?
「なんで?そんなにあの女がいいの!?」
「知ってたんだね⋯⋯東流院はゲームもしてくれたし、話もあって楽しかったよ、でも友達としてならずっとやって行けると思う。でも恋人としては無理かな、俺はあいりが忘れられないんだよ⋯⋯」
「あいりは確かにわがままだし、学校では威張ってばかりだけど、あいりだって辛いみたいだし、それが終わった時、あいりは後悔するだろう。その時隣に誰かいてあげないとって思うんだ。いないとまたグレちゃうからね。
俺だって母1人に育てられたからね父親はいないし兄も妹も弟もいない一人っ子だ。俺が中学生のとき友達を傷つけてしまったことがあった。それにより俺は友達が出来なくなった。すごく寂しかった。でもお母さんが隣で怒ってくれたし、そのあとは一緒に泣いてくれた。それが嬉しかった。だから俺はあいりにとってのそれになりたい」
「家族はいつでも隣に居るけど友達とかは離れて行ってしまうかもしれない。だから俺はあいりのそばにいたい」
それを聞いて私は諦めた。ただ小さい時好きだったから、偶然街でれー君を見つけてかっこよくなってて私はまた惚れた。だから転校してきたけどそれだけじゃ足りなかった。れー君の覚悟はそれ以上だった。
だから私は白状した。自分のした事を⋯⋯水瀬さんに今起きてること伝えた。
それ聞いたられー君は走っていってしまった。
それから最後に「これからも友達としてよろしくね」なんて言って行ってしまった。
そのまま罵倒された方がよかった。嫌悪された方がマシだった。なのにまだ友達としていてくれるって、それが私にとっての罰なんだなと思った。
◇◆◇◆◇
俺はあいりの家に向かって行った。
あいりのことをなんも理解できなかった自分に反省しながら、はやく伝えてあげたいと思い。
あいりの家に着く前にあいりが歩いているのを見つけた。
「あいり!」
俺は叫んであいりを止めた。
あいりの目の前まで行く。ずっと走りっぱなしだったから息がまだ上がっていて苦しいけど何回か深呼吸して未だ何が起きてるかわからないあいりに向かって頭を下げる。
「あいり、ごめん!俺があいりの気持ちを理解できてなかった!」
「⋯⋯」
「さっき東流院に告白された」
「⋯!」
「でも俺が好きなのはあいりだから断ったよ、そしたら色々教えてくれたよ、あいりが気になってたこと、確かに東流院とは楽しかったよ、ゲームも出来たし、でも友達としてだよ、俺はあいりとゲームしてるのが好きなんだ!」
「⋯⋯私もごめんなさい。最初は東流院さんとゲームをして私と遊んでくれなくて我慢できなかった。謝ろうにも謝れなくて1ヶ月過ぎた頃、帰り道に蓮君と東流院さんが手を繋いでるのを見て後悔した。自分の立場を守るために酷いことをして当たり散らして、蓮君を取られて初めてわかった。好きな人はその時にしか出来ないんだから大切にしないとなんだって!
私⋯⋯変わるね、蓮君のことが好きって、立場よりも大切なものがあるって、学校でも蓮君と過ごせるように頑張から!」
あいりと仲直りしてあいりの気持ちも聞いた。あいりが頑張ろうとしてくれているなら自分も頑張ろう。学校では多分色々言われるだろう。あいりが潰れないようにあいりを支えられるなら支えたいと思う。
「ありがとう、2人で頑張ろう」
「うん!」
あいりとの仲は良くなった。今日は久しぶりに一緒にゲームをする約束もした。明日からまた違う意味で忙しくなるかもしれないけど、それも頑張ろうと思える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます