第20話『レイド』
夜。
9時にファンタジーにログインする。
今日はレイドの日だ。
開始は10時からだ。それまでに作戦会議とアイテムの整理などをする。
アイもログインしてきて準備や他の人に挨拶をしている。
「ロータス準備出来てるかぁ?」
シュレイドが見回りに来たらしい。
「ああ、今度は勝つよ」
「そうだな、勝って祝砲をあげようぜ」
そうしてシュレイドと話していると後ろから2人知ってるキャラが近づいてきた。
「おう、ロータス武器はちゃんと装備したか?今日は頼むよ〜」
陽気な感じで話しかけてきたのがナッちゃん。
魔法剣士で皆をからかうのが好きな人だ。昔装備を1つ低いものを装備してた時に見つかって以降突っ込まれる。
そして隣にいるもう1人は我らがギルマス。ハンゾウだ。名前からしてアサシンだ。と思うけど全然違う。むしろその逆ギルマスはパラディンだ。
敵の攻撃を受け止め仲間を守る。それがうちのギルマス。
「久しぶりだな、ロータス」
「お久しぶりです、ギルマス」
「今日はお前達の因縁のアイツとの1戦だからな頑張れよ、前衛は俺に任せとけ」
「お願いします」
ギルマスはシュレイドを引連れてそのまま他の人のところを周りに行った。
ちなみにパラディンは一般的なゲームでは防御が高く仲間を守るのが役目そう言われているけどこのゲームはちょっと追加要素がある。物理防御力と魔法防御力が両方ともバランスよく高いのがパラディンの特徴。そして攻撃を受けて受けてダメージを蓄積させてそれを攻撃力に変換することも出来る。戦う盾。ファンタジーではそう呼ばれている。
「お前ら!準備出来たか!これからレイドに行くぞー!」
ギルマスのかけ声と共にレイドエリアに転移する。
レイドは特別なエリアに呼び出されてそこに現れるモンスターを倒すことになってる。
今回戦うのはリヴァイアサンなので海エリアでの戦闘になる。
「ロータス」
「アイ、今日はお互い勝負だから」
「うん、手加減なし、頑張ろう」
俺とアイ戦闘準備は出来た。
あとはリヴァイアサンが出てくるまで待機するだけ。
レイドエリアに入って1分でボス戦が始まる。
水の中から大きな竜、リヴァイアサンが出てくる。蛇みたいに長く、主な攻撃手段は尻尾と噛みつき、そして魔法にブレスなどだ。
俺とアイの役割りはこの海エリアから出てくる雑魚モンスター狩りだ。一定間隔毎にモンスターが湧き仲間を攻撃してくる。
これを怠ると後衛職が先にやられ戦線が崩れる、以外に重要な役割のひとつだ。
俺はシャーマンやヒトデなどのモンスターを倒して行く。
シャーマンやヒトデは一撃で倒せるようになってる。俺もこの1年で結構強くなったのが実感出来た。
小型はシャーマン、ヒトデ
中型にロッククラブ、毒タコ
大型でシードラゴン
がいる。
アイは今ロッククラブと戦闘している。ロッククラブは岩でできた爪と外殻で出来ているカニだ。岩の部分は攻撃が通らないので関節部分を狙うしかない。
それを昨日出来上がった刀八咫烏で切っていく。
俺とアイが後ろで雑魚狩りをしている間リヴァイアサンの方は⋯⋯。
ゲンゲツさんが斧をぶん回しながらリヴァイアサンの胴体?部分を攻撃する。攻撃をしていると邪魔なのか弾き飛ばそうとするのでそれをギルマスが盾で受け止める。
シュレイドはでかい大剣背負って攻撃をする。レイドボスはHPが高く攻撃力も高い、回復魔法をローテーションで組んでそれぞれHPが減ってる人を回復させていく。
後衛職の中にある。魔法使いや狩人は魔法や弓で遠距離から攻撃していく。
それからしばらくしてリヴァイアサンのHPが半分を切った。
俺の前にはボスのHP低下によりそれなりに強いモンスターが湧き始めた。
今目の前にいるのはシードラゴン。
タツノオトシゴみたいな形をしたドラゴンだ。
まぁあんな可愛い生物よりも何十倍とでかいので普通に怖いけど。
シードラゴンは水のブレスと泡の攻撃をしてくる。
俺はそれを避けながらその時を待つ。
しばらくそれをやっているとシードラゴンの後ろに攻撃が入る。
「ナイス、アイ」
「大型は手伝わないと間に合わないから」
そう言ってシードラゴンをアイと二人で相手する。
1人が囮で1人が攻撃、それを交互に繰り返してシードラゴンは倒した。
「じゃ」
「ん」
それだけ言い、またそれぞれの持ち場に戻る。
今俺たちのいるフィールドはリヴァイアサンのいる方が海でそっちが前方として後方に増援の雑魚達が湧いてくる。だから後ろは通しては行けない。
実を言うと後方で雑魚狩りをしてるのは俺とアイだけじゃない。あと3人はいる。
ボス本体の方はブレス攻撃をしてくるようになった。
直線ブレスや追尾ブレスと言ったブレスを打ってくる。
「あと少しだ!踏ん張れよ!」
ギルマスの鼓舞によりみんなの士気が上がる。
ボスのHPもあと1割まで来た。
火力職はガンガン攻撃していく。ダメージ覚悟で攻めていく。それを回復職により回復していく。
俺たちの方も敵の数が増えていく、中型が5体同時や大型2体同時などの強い個体が複数出てくるという状態になってきた。
スキルやアイテムを使い攻撃して数を減らす。
そして
グァァァァ
ボスのHPは0になりレイドが終了した。
「おっしゃああああああああぁぁぁ!!」
「俺らの勝ちだー!」
ギルマス、サブマスの雄叫びにより皆喝采を上げる。
アイも近くに来て
「おつかれ」
「おつかれ、1年前のリベンジ出来たね」
「うん、勝負は私の勝ち」
「そうだね」
俺とアイの勝負はアイの勝ち。
アイの方には小型が数多く来て大型が全然来なかったから数でいえばアイがたくさん倒してる。
俺の方には大型が沢山来たので数で負けた。
リヴァイアサンを倒した報酬は全員に素材がそれぞれ来る。そして、経験値とお金がそれなりに入る。
リヴァイアサンの素材はリヴァイアサンの武器を作るために集めるか。武器の強化に使うかになる。防具っていうのもある。
「今日は集まってくれて、参加してくれてありがとう、また何かしらに挑戦する時は声をかけるから次回もよろしくな!」
そしてレイド戦は終わった。
俺とアイも今日は早めに落ちることにした。レイドは周囲を見ながら立ち回るのでいつもの時よりも疲れるのだ。
「じゃあね、また明日」
「おう、またあした」
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