桜のような君は

鬼ヶ島

桜のような君は

 君は桜になりたいと言っていた。みんなに愛される、きれいな花みたいになってみたいと言っていた。

 

 でも、君はいつも自分を否定した。私は可愛くないし、誰も愛してくれないと。僕はそんな君をいつも見ていた。

 

 君はとっても謙虚でおしとやかで、そして、そんな姿が僕にはとても愛おしく見えた。君は誰も私を愛してくれないと言っていたけど、本当はちょっと違ったんだよ。僕だけはね。


 そして、今になって思うと、君は本当に桜のような人だったよ。知ってた?桜ってとても繊細で、ちょっとした傷でも、そこから腐って死んでしまうんだよ。だからいつも誰かが守ってあげなきゃいけないんだ。


 守ってあげなきゃいけなかったんだ。

 

 でも、君と桜の違いは、夏まで我慢できなかったことかな。

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桜のような君は 鬼ヶ島 @onigashima

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