存在する筈の無い敵
それからは少し進んではやってくる中鬼と戦うという状態になった。
私の次に壁、次は理澄、百合亜さんという感じで補助魔法専門のツインテと
壁とか沙羅先輩、ポニテは以前にもやったらしく割と余裕。
でも一年生三人、特に英美里の戦闘はちょっとヒヤッとした。
連射魔法を持っておらず、単発破邪魔法と槍術メインという戦い方だったからだ。
結果的には接近戦になる前に破邪魔法と投槍術で倒す事が出来たのだけれども。
理澄は無詠唱の風斬撃連射、百合亜さんは風衝撃弾の強化版で無事倒した。
こう見るとこのパーティ、なかなか強い。
フィルメディの並の魔物討伐小隊より強いだろう。
特に沙羅先輩、色々な意味で隙が無い。
現役の王族護衛騎士並の強さがありそうだ。
全員が中鬼を倒した後は主に私の遠距離魔法で中鬼を倒しつつ進む。
そしてついに洞窟の入口が見えるところまで辿り着いた。
「取り敢えず洞窟から出てくる敵は倒してしまって下さい」
そんな訳で衝撃弾で倒す事十数回。
ついに数分待っても敵の反応が近づいてこなくなった。
「そろそろ頃合いですね。行きましょう」
そんな訳で洞窟の入口へ。
洞窟そのものは結構大きい。
入口も軽自動車が入れそうなくらいの広さだ。
足場が平らではないので実際には自動車は無理だろうけれど。
「ここが熊野荒坂に魔物が出てくる原因の一つです。この洞窟は龍脈の歪みへと繋がり魔を生み出していると言われています。実際にどのくらいの魔物がいるのか、ご自分の観える範囲で確認してみて下さい」
なるほど。
そんな訳で私も洞窟内を入口から走査を開始する。
十メートルもいかないうちに先程戦った中鬼レベルがごっそりたむろっている部屋があった。
そして更に先、ずっと走査していくと中鬼より更に強い反応が出てくる。
このクラスだと通常の討伐小隊なら苦戦しそうだな。
その前の中鬼の集団で下手すれば全滅か。
そして更に奥は……これは酷い。さっきの中鬼以上のレベルがごろごろいる。
これでは討伐小隊ではなく騎士団、それも三個騎士団以上が必要……
いやそれより巡察騎士や冒険者レベルA以上の強者でパーティを組んで攻略した方がいいだろう。
一般騎士団員は悪いが盾にすらならない。
そして迷宮のボスレベルすら数個反応を確認した更にその奥にいる巨大な反応。
この反応と似た敵を私は知っていた。
全く同じではないが間違いない。私はこの反応を知っている。
この相手そのものは初見だが、知っている敵の系譜に属する反応に間違いない。
だが何故フィルメディから遠く離れたこの世界にこの敵がいるのかがわからない。
大魔王が出現する前にその露払い役として出現する魔界四騎士。
私が倒した第一騎士ドミナス。
私を含む特命小隊が倒した第二騎士ベイルム。
そして今感じている魔力反応。
おそらくこれは第三騎士ファーメ。
魔力、魔法紋、魔法色、全ての走査結果が私にそう告げている。
そして感じる魔力の圧倒的な差。
今の私では間違いなくこの敵には勝てない。
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