第三話 極悪非道女とラスボスと
強敵、極悪非道女!
例会は自己紹介の後、簡単な連絡事項で終わった。
連絡事項と言っても連絡用SNS名簿の作成とか次の例会の日付とかそんな物だ。
その後皆で魔法訓練をやるという話だったが私は
今回は空間封鎖がかかっていなかったようで無事寮へと逃げる事が出来た。
壁とポニテのおかげでボロボロになった心を少しでも癒やすべく、ただちにベッドに入ったのは言うまでも無い。
睡眠は最高の贅沢で最高の回復方法だ。
そんな訳で翌日も普通に過ごして、そして放課後。
今日は何も無いから弁当買って寮へ行って寝まくるぞ!
そう思いつつカバンに教科書等を入れていた時だ。
私の席の付近が不意にいつもと違う気配に襲われた。
前席の夜ノ森や斜め前の亘理が挙動不審になっている。
何事だと思って視線を上げる。
あり得ない事が起きていた。
教室前方右側を勢力圏とするゆるふわ女子軍団の一人
いや停戦境界線なんて物は実在しないがこっちには滅多に女子はやってこない。
ヲタク非モテ軍団の領域だった筈なのに!
「松戸君、悪いけれど放課後付き合って貰いますね」
ざわつく周囲。
「まさか松戸氏、裏切るのか」
そんな声まで聞こえる。
「待ってくれ!私は何も……」
『おとなしく来ないと手を繋ぐわよ』
魔法音声でドスの利いた声が入る。
なんだと! そういう脅迫に出たか!
『花梨先輩に空間封鎖してもらっているから移動魔法も使えないわよ』
なんでそこまでやるのだ!
「動かないなら問答無用ね」
思い切り手を繋がれた。
流石に相手が一人でも触れられるとやばい。
固化で身体機能が半分に落ちる。
「さあ行くわよ」
見かけとは違うとんでもない力で引っ張られる。
身体強化魔法を使っているのは間違いない。
「松戸氏が裏切ったぞ」
「非モテ同盟失格、いや除名だ!」
ぐいぐいとんでもない力で引っ張られ、廊下を経由して専科教室棟へ。
『な、何の理由なんだ!』
何とか魔法音声で友部理澄に尋ねる。
「魔法の練習よ。B組の百合亜ちゃん、風魔法を練習したいそうだけれど先輩方に風魔法が得意な人がいないのよ。聞いたら松戸が得意だっていうじゃない。だから百合亜の練習に付き合って貰うわよ」
『何もこんな強制的に連れて行かなくていいだろう』
まだ声が出ないので魔法音声で。
「だって松戸、すぐ逃げるじゃない。だから花梨先輩に協力して貰って、ついでに絵麻先輩と杏奈先輩に作戦を考えて貰ったの」
花梨先輩と壁とポニテか。
最悪のコンビネーションだ。
「そんな訳でおとなしくついてくるなら手を放すわ。でも逃げたら明日から百合亜ちゃんと英美里ひきつれて三人で引っ張っていくわよ」
何という事を言うのだ。
お前には良心が無いのか!
よしこいつをこれから極悪非道女と名付けよう。
面と向かっては呼べないけれど。
『取り敢えず手を放してくれ』
「逃げないでよ」
友部、いや極悪非道女はやっと私の手を放してくれた。
本当はこの隙に色々魔法を唱えて脱出したい。
でもそうすると明日からもっと悲惨な事になるのは目に見えている。
それにどうせ花梨先輩の魔法で脱出不能だろう。
そんな訳で仕方無く私は極悪非道女の後をついていった。
完全なドナドナ状態で。
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