他人による自己紹介
ここからは花梨先輩が引き継ぐ。
「そんな訳で自衛という意味もあって、主に攻撃魔法を使える方を中心に文化研究会を設立した訳です。研究会はほぼ学園創立と同時に立ち上げられ今年で十年目になります。その間色々な方面からの力をお借りしながら学園を守ってきた訳です」
「一部の先生方もこの事は知っているし協力もしてくれている。この研究会の顧問の羽鳥先生もその一人だ。他に成績及び内申の優遇措置等もやってもらっている。ただ先生方で戦力になる魔法を使える方がほとんどいないので、残念ながら戦闘は我が研究会が先頭に立ってやっている訳だ。
現在のところ魔物がそれほど強くないせいもあり、学園側に被害者は出ていない。しかし今後もそうだとは言い切れないのが実情だ」
なるほど、思ったよりシリアスな状況だった。
確かにこれなら戦力になる新人を確保したくなるだろう。
私にとっては大変不本意ではあるのだけれども。
「そんな訳で普段は魔法の訓練や意見調整の為の会合、長期休暇等では皆で合宿しての戦闘訓練等も行っています。説明はこんな処でよろしいでしょうか」
合宿というところが引っかかる。
まさか私も同行しなければならないのだろうか。
女子ばかりのなかに男子一人というのは避けたいというかやめて欲しい。
まあ常識的に考えて女子の合宿に男子を混ぜるなんて事はしないだろうと思うが。
「さて、それでは新人の紹介です。まずは
肩までふわふわ髪の女子生徒が立ち上がる。
私と同じクラスだが生息圏が違うので名前は知らない。
ちなみに私は教室後ろ窓際オタク生活圏、彼女は前廊下側女子ノリ生活圏である。
「
次は知らない小柄でマッシュルームカットの女子。
「
最後は背の高い黒長髪ストレートの女子だ。
「
女子の自己紹介が終わってしまった。
ひょっとすると次の自己紹介は私だろうか。
周りの視線が私に集中する。
女子の視線で固まってしまった私は当然、動けない。
「さて、そこの男子自己紹介は私がしよう」
そう言って立ち上がったのは壁、いや絵麻先輩だ。
どうしても壁の印象が強いので、名前の前に壁と思ってしまう。
しかし絵麻先輩、私をどんな風に紹介するのだろう。
嫌な予感しかしない。
「彼は
ただ魔法はかなり強力よ。土曜日の戦闘でも遠くから魔物十匹以上を風魔法で倒しているわ。他に気配隠匿と身体強化、簡単な空間魔法を使えることも確認済み。他にも魔法を使えるとは思うけれど。
女性が苦手なくせに私の両胸を揉んだ前科持ちだから注意してね」
うわあ、何だその紹介は!
「その紹介は少し可哀想だと思うよ」
おっ、ポニテこと杏奈先輩が弁護してくれるようだ。
「胸を揉んだのでは無く、あれは手があたっちゃっただけだと思うよ。遙は確かに魔法は強いけれど女の子には無害だから、例えば」
ポニテは立ち上がって……うわあっ!
「ほら、後から抱きつくだけで呼吸困難になる。だから無害だと思って大丈夫だよ」
こらポニテ、呼吸困難になるの知っているなら抱きつくな!
そう言いたいが当然固化しているため何も言えない。
ついでに言うと呼吸も出来ない。
苦しい、だれか助け……
「はいそれまで」
双子の片割れツインテールがポニテを引き剥がしてくれた。
私は慌ててスーハースーハー呼吸する。
何とか助かった。
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