2月29日──もうひとつの土曜日
「うちの会社は完全週休二日制だよ」
そのひと言で、この会社に就職を決めたんだけど⋯⋯。
「ふう、やっと金曜日ね。明日は家でゴロゴロするわよ!」
上司が怖い顔で近づいてきた。
「何を言っとる。明日はまだ全曜日だろ!」
「ぜ、全曜日?」
「金曜の次は全曜、常識じゃないかね」
「え、ええ⋯⋯そうでしたね」
なんで明日が休みって思ったんだろう。
そして全曜が終わった。
「今度こそ休みだわ!」
「おいおい、明日はまだ本曜日だろ」
「ほ、本曜日?」
「しっかりしてくれよ!」
そうか、まだ休みじゃないわよね⋯⋯。
あれから一体、何日が過ぎたのか?
あたしが覚えている限りでは、永曜日、朋曜日、炎曜日、士曜日、目曜日とかがあったけど、いつになったら土日がやってくるのだろうか。
「おい、しっかりしてくれよ。明日は明曜日だぞ!」
机の上にうず高く積まれた書類の山に、あたしは顔面から倒れ込んでいった──。
◉2月29日は「閏日」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます