2月3日──大岡裁き 異聞

「この子はあたしの子だよ!」

「いいや、あたしの子だよ!」

 お白州の場で二人の女が、子どもの親権を巡って争っていた。


「では、その子の腕を一本ずつ引っ張り、勝った方を⋯⋯」

 越前守は、前に上手くいった方法を再び試そうとしたが、

「奉行、三人目の母親が現れました」

「なんと!?」

 予想外の事態におろおろとしていると、

「奉行、四人目の母親が」

 さらに、

「奉行、五人目の⋯⋯」

 と増えてゆき、お白州の場には母親を名乗る七人の女たちが登場した。

「一体どうなっておるのじゃ?」

 越前守が首を捻っていると、突然、子どもが服を脱ぎ始めた。

 その体には八本の腕が生えていた。


 その場に居る全員が啞然としていると、空からUFOが降りてきた。

 そして中からは、八人目のタコ型宇宙人の母親が現れた。

「コノ子ハ、アタシノ子デス」

 母と子は、八本の手を取り合って天へと帰っていった。

「これにて一件落着ゥ──!」


 ◉2月3日は「大岡越前の日」

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