退路を待っている

韮崎旭

退路を待っている

退路を待っている

暗い光と正体が時に視野に連合する

往路は腐り落ちる

ほの暗い皮膚の照明に反映する、タイプライターの交差点で

見据えている空白

無機的な哨戒の端々で白鷺が停止する

制止された言動と発露の衝動性の行く末に恣意的にふるまう

回復のない頽落と動揺に

退路は焼け爛れる

その日まもなく、何ともかかわりなく、事実としての投了と生涯。

脂溶性のよい不吉さに、もとめているのか

人間では無ければよかったか、蝉の声と無条件降伏が貼りついて離れない脳裡と

注射針、耽溺、肺を埋める至福と眼福

境界の崩落と自失

捨て去っておきたい将来の人間、人格の不具

私のさび付いた精神の臓器に

賭けた心象は見る果てのない水墨画か栄養的な砂漠に溶ける

退路は待っている

それなのに私は見落とした

故意に

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退路を待っている 韮崎旭 @nakaimaizumi

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