第8話 急接近?

「私が正樹の能力の封印を解く鍵なの」


 鞘華が真剣な顔で言う。


「鞘華が鍵? どうして?」

「機械を付けて封印をする時何を想ってた?」


 写真の女の子に対する恋心を強く考えろと言われた。

 

「なるほど、陽佳さんの考えそうな事だ」


 あの時写真の女の子を好きかどうか聞いたのは鞘華を鍵に設定する為だったのだ。


「さっき電話で話したのは正樹の封印を解除して欲しいって内容だったの」


 俺の封印を解除する。

 鞘華が動揺するのも無理はない。


「どうして封印解除する事になったんだ? 陽佳さんもずっと封印が解かれない事を望んでいたはずだけど」

「それは、霧矢将嗣のせいね。彼は自分以外のスキル持ちを抹殺して自分をより一層特別な存在、極論を言えばこの世界の神になるつもりらしいの」


 随分ブッ飛んだ奴だな。


「私や正樹にもいずれ接触してくる。その為には対抗手段が必要になる。それで、正樹の封印解除をする事にしたみたい」


 確かに、封印の無い俺の能力を使えば敵ではない。

 しかし、引っかかる事がある。


「それが俺とキスする事と関係あるの?」


 もっともな疑問をぶつけた。

 鞘華は真っ赤になりながら


「お義母さんが言うには、私が封印解除と念じながらキスをする事で封印が一つづつ解除されるらしいの。決して下心なんてないわ!」

「マジで?」

「私、嘘は嫌いなの」




 陽佳さーーん、何でそんな設定にしたの!

 あ、俺が写真の女の子が好きって言ったからか。


「さ、さっさと済ませましょ。いつ奴が狙ってくるか分からないわ」


 た、確かに。

 でも、ファーストキスが封印解除の為とはなー。

 それにキスっていっても色々種類がある訳ですが。


「き、キスはバードとフレンチどちらでしょう?」

「そ、それは。陽佳さんによれば、唾液の交換で解除されるらしいわ」


 という事はフレンチですね!

 ファーストキスでフレンチキスってどうなの?


「さ、鞘華はいいのか? 俺と、その……」

「だから私の事どう思ってるか聞いたのよ! ファーストキスだから恋人になってからしようと思ってたのに!」


 そういう事だったのか。

 まぁ、ファーストキスは恋人がいいに決まってるもんな。


「なんか、ごめん」

「別にいいわよ。正樹こそエッチな想像した相手とのキスよ? これを切っ掛けに私の事を好きになりなさい。そうすれば、想像してた事ができちゃうかもね」


 そんな誘惑には負けない!

 でもキスしたら気持ち変わりそう。

 しかも想像していた事ができちゃう可能性が!

 峰崎鞘華、恐ろしい子!


「早く済ませちゃいましょ」

「そ、そうだな」


 そう言い鞘華は目を瞑った。

 俺も徐々に鞘華に顔を近づける。

 鞘華の唇が目の前にある。

 鞘華の息が俺の顔にかかる。

 凄い!鞘華の唇に吸い込まれそうだ。

 俺の唇と鞘華の唇が触れるかどうかの時、突如部屋に男の声が響いた。


「そこまでにして貰おうか」


「「!?」」



 声がした方を見ると、青白い顔をした白衣の男が立っていた。

 

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