大手求人広告店に勤める一ノ瀬蒼梧のもとに、ある日、異世界で貿易会社を営むJKエルフ社長・ラクスが現れる。結婚の約束をしたと言うが蒼梧にはさっぱり覚えがない。さらには彼女の会社へ誘われて……。
しがないサラリーマンに突然訪れた人生の転機を描き、働くことについて問いかけています。
夢を抱いて入社したのに今ではすっかり仕事への情熱をなくし、ただ営業成績の数字を追いかける蒼梧は、現代の社会人の等身大の姿といえます。
世間ずれした蒼梧にとって、仕事に理想を求める後輩女子の生駒や、一途な想いをぶつけてくるラクスは眩しすぎ、ついつい二人にキツく当たってしまう。
今の仕事にやり甲斐はあるのか。誰かのための仕事じゃないのか。生駒やラクスの指摘に惰性に陥っていた自分を次第に見つめ直す。
苦しくて報われないのに何故働くのか。蒼梧の自問自答が読者にも突き刺さります。
懊悩する蒼梧だが現実は待ってくれない。営業ノルマの期限が迫り、結果を出さねばならない時が訪れる。そして最後に蒼梧は答えを出す。
どんな業種の仕事にも通じる真理がこの作品に秘められている気がします。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)