第1話 生意気な幼馴染

 俺の名前は藤川ふじかわ俊太しゅんた、ごく普通の高校生である。


「俊太!」


 ふと教室で呼ばれて振り向くとそこには有村ありむら杏南あんなが立っていた。


「ん?杏南か、どうした?」

「ねえ!私のためにさ、このメロンパン後で買ってよ!」

「はぁ、やだよ、俺だっていろいろ忙しいし!」

「はぁ?!この有村様にそんな口きいていいと思ってるの?」

「お前だって俺にそんな口叩ける立場じゃねーだろが!!」



 有村杏南は、俺と同じクラスメートで小さいころからの幼馴染だ。いつもはおしとやかで、女子からも慕われる姉貴肌的な感じのやつだ。だが…


「最近あんた私に対してずいぶんと反抗的よね」

「はぁ?別に当然のことを言ってるだけじゃねーか」

「当然なわけないでしょ!あんたはあたしに日々こき使われていればいいの!」

「お前は俺をなんだと思ってるんだ!?」

「奴隷の犬」

「ひでぇなおい!!」


 というようにいつも俺に対してはこんな感じのやり取りばかりだ。なんでこんな態度かっていうと、まあ、あれだ。属にいう女王様キャラってやつだ。


「とにかく、あとで買ってきてよね。」

「へいへい、わかったよ。」


 俺が適当に相槌を返すと、杏南は納得した様子で自分の席へ戻り、友達とおしゃべり始めた。


「はぁ~」


 俺は思わずため息が出てしまう。


「おはよ~俊太」


 すると、俺の友達であるたいちが、目の下に真っ黒な隈をくっきりと浮かばせながら登校してきた。


「おう、たいち・・・って相変わらずひでー面だなぁ」

「昨日発売したギャルゲーを夜中にずっとやってた。」

「ギャルゲーも体外にしろよ」


 たいちはゲームが好きで特に恋愛シュミレーションゲームなどが大好きで、いつものように徹夜をしてゲームをやりこんでいるので、朝はいつもひどい表情で登校してくるのが日常であった。昨日のギャルゲーの話をいつものようにたいちが俺に語りながら相槌を打ちつつ会話をする。途中でチラっと杏南の方を見ると、友達とケラケラしながら笑っていた。


 あいつも普通に笑ってれば可愛いのにな。

 そんなことを思っているとHRのチャイムが鳴り、今日も日常が始まるのであった。

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