妹からのメッセージ

勝利だギューちゃん

第1話

妹が旅立ってから、1年が経った。

あっという間でもあり、長くもあった。


両親が早くに他界し、妹とふたりで助け合って生きてきた。

唯一の肉親だった。


喧嘩もしたが、仲は良かったと思う。

しかし、神は残酷・・・


妹の死は、あっけなかった。

人の命はこんなにももろいのかと、身を持って知った。


妹の部屋は、そのままにしてある。

まだ整理がつかないのが本音。

ひょっこり、「お兄ちゃん、ただいま」と、帰って来そうな・・・

そんな感じがしている。


していたのだが・・・


『お兄ちゃん、ただいま』

「お帰り」

『一年ぶりだね、元気だった?』

「そう思うか?」

『ううん、元気ないみたいだね?どうしたの?』

妹に、言われるとは思わなかった。


『私、見てたよ。天国から・・・』

「何を・・・」

『お兄ちゃんの様子』

「ストーカーか?」

『違うよ。やはり、お兄ちゃんの事、気になるもん』

そっか・・・

ありがたいんだが、少し自分が情けなくなる。


『あっ、お父さんとお母さんに再会したよ』

「なんだって?」

『早く来すぎだと、怒られた』

「まだ、16歳だったもんな」

『うん、でも私は後悔はないよ』

「本当か?」

『うん、ただ一つだけ未練があるけどね・・・』

「何だ?その未練は・・・」

『お兄ちゃんのお嫁さんがどんな人か、知りたかったな』

「かなり、先だろ?」

『お兄ちゃん、もてないもんね』

憎まれ口は、変わっていない。

でも、安心した。


『お兄ちゃん』

「どうした?」

『私、お兄ちゃんの妹でよかった。』

「えっ」

『大好きだよ、お兄ちゃん。またね・・・』


またね・・・か・・・


幻なのは、わかっていた。

でも、こうして妹と再会できたことを、嬉しく思った。


うん・・・またね?

どういう意味だろう・・・


『あっ、お兄ちゃん、言い忘れてた』

「どうした?」

『私の部屋、探してみて。お兄ちゃんへの手紙があるからね』

「手紙?」

『うん。じゃあ今度こそ、またね・・・』


すぐに妹の部屋を探す。

亡くなってから、初めて入る妹の部屋。


手紙は、すぐに見つかった。

そしてその手紙の内容を見た時、涙が止まらなかった。


長くはない。

一言だけ書かれていた。

今の、僕に必要な言葉・・・


【絶対に、下だけは向かないでね】


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妹からのメッセージ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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