Einfach
検問跡地を出発し、湖畔にたどり着いたアラフェネ
とロンメル一行。
途中ハプニングもあったもののビーバーやプレーリードッグと出会い、家に泊まらせて貰えることになり、ほっと一息。
今日もマイペースな追跡が始まる……
投稿もマイペースですが、ゆっくりしていって下さいな。
キャラ崩壊注意です!
────────────────────────
「ロンメルさん本当にこれ、おれっち達が貰っても大丈夫なんっすか?」
「なに、泊めて貰ったお礼だ。受け取ってくれ。」
ビーバー達の家で一泊した次の日。
出発する直前にビーバー達にプレゼントをした。
内容は、スコップや定規と代わり映えしない物だが、建築が好きらしい彼女達には丁度良いだろう。
使い方もちゃんと教える。
「それじゃあ、我々も出発するか。本当に世話になったな。」
「またお話を聞かせて欲しいっす!」
「また来てくれると嬉しいであります!」
「はいよー。また来るねー!」
「それじゃあ、出発進行なのだ!」
ビーバーとプレーリードッグのお見送りを受けながら今日もアライグマの声に合わせて出発する。
目指すは帽子泥棒の追跡、確保だ。
「帽子泥棒はこのまま道なりに行けば大丈夫か?」
「間違いないのだ!」
「そうか。了解した。」
アライグマから言われた方角を目指し、進んでいく…
どうやら帽子泥棒はこの道を通って移動したらしい。
空には雲が一つもなく、太陽がギラギラと自分達の乗っている装甲車を照らす。
ビーバーの作った湖とゴツゴツした岩肌を見せる山岳地帯が生み出す雄大な景色を左に見ながら進んでいく。
いつまでも眺めていたいくらい綺麗だったが、少しばかり走ると湖は見えなくなった……
フェネック曰く、暫くは平原が続くらしい
殺風景といったら何だが、砂漠と大してかわらない。だだっ広い草原を走る。
印象に残ったものと言えば、
それ以外に特に変わったこともなく、順調に車両は進んでいく。
そんな代わり映えしない風景が続いて数時間が経過し、太陽も頂点に達したころ。
数時間の運転は流石に疲れてくる。
何処かで休憩しようか。
そう考え始める。
すると、前方に何やら白い壁が見えて来た
どうやら城のようだ。
「少し、疲れてきたし。あそこで休憩しないか?」
丁度良さそうな場所なので、すかさず休憩の提案をする。
「了解なのだ!」
「大丈夫だよ~。」
彼女達からも快く承諾される。
進路を城のほうへ変更する。
たった数百メートル程しか離れていないので、すぐに装甲車は到着する。
そのような距離など車には目と鼻の距離でしかない。
城は我が国やフランスの様のものでも、中国の城塞都市の様なものではなく、日本式の物となっていた。
が、どうやら本物ではなくアトラクションか展示物か何かだったようだ……
後ろの方に遊び用の滑り台が見えている。
閉まっている門の前に車を停止させる。
ハッチを開け、装甲車から降り、少し伸びをしてみる。
運転で凝った身体が解されていく。
見ると、アライグマ達二人も伸びをしていた。
流石に狭い車内では彼女達にも辛かったか……
ここら辺で少し、散歩でもしてみようか。
車内のこもった空気じゃなくて、外の新鮮な空気を脳にしっかりと届けたい。
そうすることによって、情報整理も捗りそうだしな。
「よし、私は休憩がてら散歩でもするが……アライ達はどうする?」
「ロンメルさんに付いていくのだ!」
「私たちも付いて行っていいかな~?」
「別に構わないが、城とか見なくて大丈夫か?」
「後で皆で見れば問題ないのだ!」
「皆で一緒なら楽しいしね~」
「……そうか、確かにそうだな。」
昨日まではまだ少し、警戒されていたような気もするのだが……
大分、打ち解けられた気がする。
彼女達の明るい性格には本当に感謝したくなる
このまま、何事もなくやっていければ良いんだがな…
「それじゃあ、行くぞ。」
「なのだ!」
「はーい!」
歩き始めると後ろから二人も付いてくる。
身体をしばらく動かしてなかったからか動きが大分鈍くなっている。
これからは、しばらく朝に散歩するのもいいかもしれないな……
草原を歩く。
頬に当たる風が何故かとても気持ち良かった
遠くで遊んでいる娘達も見える。よく見るとフットボールをしているようだ。
人の姿になったからには、遊びも必然的に似るということか……元が本当に動物なのか疑いたくなる位だが、やはり頭の耳と腰の尻尾がそれを表していた
…………
「なぁなぁ、ロンメルさん。」
歩きだして10分位だろうか。
不意にアライグマから話し掛けられる。
「どうした?」
「どうして、ロンメルさんはアライさん達に着いてきたいと思ったのだ?」
「…………別に大した理由じゃないぞ?」
「でも気になるのだ!」
「確かに~。私も気になるな~。」
フェネックもそれに乗っかって来る。
「もしかして、こっち目的だったり~?」
そういって、フェネックがスカートをひらひらさせる
「そんなわけではないが.....」
「こっち???どういう意味なのだ???」
アライグマはどうやら意味を知らないようだ。
「アライさんにはまだ早いんじゃないかな~。」
「そうだな。アライには早すぎると思うぞ。」
「むうううう。二人ともアライさんを子供扱いしないで欲しいのだ。アライさんはもう大人なのだ!」
「そうだな。アライは立派な『おとな』だもんな」
ナデナデ
からかい次いでに撫でることにする
「そうなのだ!アライさんは大人……って何で頭を撫でているのだ!?」
「なに、子供扱いしてるわけじゃないぞ?アライを褒めるためにやってるんだ。」ナデナデ
「そうだよ~。アライさんも大人になったね~。」
ヨシヨシ
フェネックもアライさんをなで始めた
端からみたら二人が一人を撫でているよくわからない集団にしか見えないだろうな……これは。
「な、ななんでフェネックも撫でてくるのだ!?」
「さぁ、なんでだろ~?」ヨシヨシ
「むうぅぅぅ!二人ともひどいのだ!」
とうとう、アライさんが起こりだしてしまった。
「ごめん、ごめん。アライさんが面白くてさ~。」
「すまない。ちょっと調子乗りすぎたかもしれん。」
フェネックに関しては謝る気があるんだか無いんだか判らないが、取り敢えず謝っておく。
「今更謝ったって遅いのだ。」フンッ
「あちゃー、こりゃやり過ぎちゃったかもだね~。」
「アライ、すまなかった。後で、何かご馳走するから、許してくれないか?」
「……しょうがないのだ。アライさんは寛大だから許してあげるのだ!」
「あらら、アライさん完全にご馳走につられたね~」
ゴロゴロ
そんな会話をしていると、此方にボールが転がってきた。
『パーッス!蹴って!蹴って!』
声が聞こえてくる。
「なに!?よくわからないがまかせっ……」
アライグマがその声に直ぐ様反応し、華麗にボールを蹴飛ばそうとして
「ぐぇっ!」
盛大に転けた。
「はーいよっと!」
そのすぐ後に続いて、フェネックがきれいな足さばきでボールを蹴飛ばして……
「おお!」
見事にゴールに突っ込んだ
「やったぁぁ!」
ボールを蹴ってくるよう頼んだ娘がいう。
ライオンだろう。
「おい待て、反則だろう。」
今度は、敵チームの親玉的な存在らしい娘が出てくる
頭に生えている特徴的な角が見える。
ヘラジカだろうか?いや、オオツノジカ……よくわからないな
「まぁ、良いじゃないか。丁度良いし、休憩にしようよ!」
ライオン(?)がヘラジカ(?)に話し掛ける
「まぁそうだな。丁度良いし。皆、休憩にしよう。」
そう言って、サッカーをしていた者達、全員が集まってくる。
「私はライオン。君、良い蹴りだったじゃないかー。名前は?」
予想通り、鬣が特徴的な娘はライオンだったようだ。
「フェネックなのさ~」
「アライさんなのだ!」
「ロンメル。」
順に自己紹介をしていく。
「ヘラジカだ!お前、強そうだな。ちょっと勝負してみないか?」
角が特徴的な娘はヘラジカというらしい。
「シロサイですわ!」
重そうな甲冑を着込んでいる娘はシロサイ
「オオアルマジロだよー」
シロサイ程では無いが、此方も固そうな装備だ。
「じゃあ、次は私ですかね。私はアフリカタテガミアラシです。よろしくですぅ!」
背中、というか腰からだが、鋭そうな長い針が見えている。どうやら内気な性格のようだが、ちゃんとした芯を持った娘のようだ。
「拙者はパンサーカメレオンでござる。」
東洋のニンジャのような格好をしている。カメレオンと名が付くからには周囲との同化能力を持っているのだろうか。小柄だが、俊敏そうだ。
「………………ハシビロコウ」
ジーッと此方を見ている娘はハシビロコウと言うらしい。ヘラジカの話によれば、ジーッと見つめてしまう癖だそう。
次にライオン側の娘達の紹介が始まる
「オーロックスだ!よろしくたのむ!」
腹筋がいろいろと凄い力強そうな娘はオーロックスというらしい。たしか、人が原因で絶滅したとか何とかベルリン動物園で説明を聞いた気がする。
「アラビアオリックスだ!」
全体的に白が目立つ娘はアラビアオリックスと言うらしい。サウジアラビアの方にいるウシ科の動物だったはずだ。
「ニホンツキノワグマだよ。よろしく。」
今度は全体的にくろがね目立つ娘。その中で首回りの白いラインが特徴的らしい。ツキの名前はそこからだろうか……
10人(匹か?)に、自分達を含めて総勢13人が自己紹介を済ます。
一気に済ませたので、覚えきれないかと思っていたが、どの娘も特徴的な娘が多すぎて直ぐに覚えてしまった
「そういえば、こっちまで何しに来たのー?」
ライオンに尋ねられる
「ハッ!そうだ。聞いてほしいのだ!」
ナンダナンダドウシタンダ
周りにいた娘達もアライさんのお話に興味津々なようだ。すこしざわめき出す……
「それは、十日位前のことだったのだ……
アライさんの説明が始まる
いつも通り、帽子を見つけた経緯から、盗られた所までしっかりと説明していく……
ということで、そいつは帽子泥棒なのだ!」
「うぅん、見えんな。」
「そんな子じゃないね~。」
「あんな巨悪を許しては、パークの危機なのだ!」
アライさんが右手を振り上げて力説する
「えっと、勘違いじゃ……」
ハシビロコウが冷静に判断する
「多分、勘違いなんだけどね~。」
「フェネックまでぇ~。」
自分に賛同してくれる者が居ないと悟ったのか、アライさんが途方暮れ始める。
「まぁ何だ、まだ違うって決まったわけじゃないんだ。アライの意見を私は尊重するぞ。」
「ロンメルさん……ありがとうなのだ!」
「私も最後までアライさんについていくよ~。」
「ありがとうなのだ!フェネック~。」
「という訳なんで、その子が何処に向かったか分かるか?」
「ヒトが住んでいる場所を聞きにー、この先のジャパリ図書館に向かったよー。」
ライオンが答えてくれた。
ありがたい。
「ありがとう。取り敢えずアライ、フェネックは先に車に戻っておいてくれ!」
「別に構わないけど。ロンメルさんは~?」
「何、少し尋ね事が有るだけだ。直ぐに戻る!」
「わかったよ~。さ、アライさん行こうか。」
そういって、フェネック達が車へ戻る
その場に残ったのは、サッカーをしていたライオン、ヘラジカのグループと私だけ
「あれ?行かなくていいのー?」
ライオンが話し掛けてくる。
「ちょっと、気になることがあってな。」
「気になることって?」
「…………」ジーッ
「ハシビロコウ、だったか?先程から何故、此方を凝視しているんだ?」
「……ごめんなさい。私、話し掛けるのが苦手で。じっと見て機会を窺う癖があるの。」
「そうなのか。だが、アライやフェネックが居るのに私をずっと凝視していたよな?」
「それは……気になることが一つあって……」
「気になること?」
「ロンメルさんは……もしかして、あなたも『ヒト』なんじゃない?」
「「「えぇぇ!?」」」
そのハシビロコウの言葉に周りにいた全員が驚いたのか、大きな声をだす。
「確かにその通りだが……」
「えぇぇ!じゃ、じゃあ、あのかばんと同じ種族なのか!?」
「通りで、強そうだと思ったんだ!どうだろう一試合してみないか!」
「まさか、かばんさん以外に人がパークに居たなんて……」
「本当ですの!?」
一気に皆から質問責めにあう。
「確かに、私は人だが…その、『かばん』について話を聞かせて貰えないか?」
目的はそれだ。
「いいよー?何処から話せばいいのかなー
そうそう、あれば一週間位前の事でね……
…………
最初は、オーロックスとアラビアオリックスが近くの道を通っていた『ばす?』を見かけて、乗ってたフレンズを連れてきたんだ。
そのフレンズが かばん だった。
最初、オーロックス達が連れてきたとき、かばんは怯えていたんだが友達を庇おうと自分を犠牲にしようとしたんだ。
私はその心意気に惚れて、一つたのみ事をした。
丁度、その時。私達とヘラジカのグループら対立関係にあったんだ。
だが、ここまで51回。全部私達が勝っていた。
でも、ヘラジカは何回も戦いを挑んできた。
このままだと怪我人も出かねない。
それを止めるため、かばんが色々と頑張ってくれたんだ。次の日、かばんの考えた安全なルールの元、
私の陣営とヘラジカ陣営はまた、ぶつかった
結果は、かばんの活躍もあって何と初の引き分けだった。
お陰さまで私達はヘラジカ達と打ち解けることができたんだ。
今でも、かばんには感謝しているんだー。
そして、かばんはどうやら自分が何の動物のフレンズであるか知らなかったみたいだったよ。
それで、図書館に詳しく聞きに行った……
そういった感じかなー。取り敢えず、泥棒なんて悪いことするような子じゃなかったねー。」
「わかった、ありがとう。それじゃ、私も移動するとしよう。大丈夫だ。かばんとはちゃんと話を聞く。」
「いいよいいよー。また、来てね!」
「今度会った時は一試合しよう!」
ヘラジカにそう言われる。
先程から冗談かと思ったがそんなことは無かったらしい。試合とは何だろうか……
「ははは、今度会えたら。な。」
「図書館へは、森に入って二つ目の分かれ道を右に行けば着くよー。」
「最後まで、ありがとう。それじゃ、戻るとするか」
そういって、車の元へ足早に移動する
少し、話が長くなってしまったため、アライグマとフェネックを待たせたままになってしまった。
取り敢えず、車に戻るまでに話の整理をしておく。
アライグマが帽子泥棒として、追っているのは『かばん』という子に違いないが、アライグマ本人は『かばん』と『帽子泥棒』を同一人物だと気付いていない。
フェネックは恐らく、あの様子だと半々といった位か……
そして、その『かばん』はヒトであるということ。
ライオンの話から、バスを使っているということ。
成る程、通りで車両で追っても追い付かないわけだ。
相手も文明の利器を使っているとなれば追い付ける訳がない。
だが、此方も時速85kmは出る化け物車両だ。相手がバスだとしてもいずれ追い付く筈だ……
そんなこんなで、装甲車の場所、城前まで戻ってきた
アライさんとフェネックは装甲車に寄りかかって座っていた。
「すまない。待たせたな…」
そう言って、装甲車の前に立つ。
こいつも結構汚れたものだ……
「おかえりなさいなのだ!」
「ずいぶん時間がかかったね~。」
「まぁ、ちょっとな。」
「ふ~ん……」
「結構情報も入ったし、そろそろ出発するか。」
そう言って装甲車に乗り込む。
こいつも一回、洗ってやらないとな……
いつも通り、エンジンを掛ける
アクセルを踏み込み、ゆっくりと動き出す。
「さて、次なる目的地は」
「しんりんちほーの~」
「図書館なのだ!」
────────────────────────
『Einfach(草原)end』
お久しぶりです。
1498です。
最後は少し、足早な感じもしますが……
色々と無駄な場面も今回は多かったり、キャラ崩壊しかけたり、読みにくい箇所がまたあったり……
そんな第5話でしたが、いかがでしたでしょうか?
感想、質問、アドバイスを頂けると嬉しいです。
うーん。自分で書いといてこれじゃない感が出てる…
なんだろう……
少し、後書きが短いので、軽くロンメルが乗ってるSd.kfz.232の説明を……
この232型は231型に中距離無線機を搭載したもので、格子状のフレームアンテナが特徴的。
しかし、無理矢理、無線機を載っけたため、車内は狭く、居住性はあまり良くなかった。
後継型として、234型があり、こちらは231、232型よりも熱帯、寒帯といった局地対応型を目指して作られ、居住性も改善された。
この231.232.234全てに共通する特徴が、前後に運転席があるということ。
しかも、前進後退揃って時速80km出せるなど相当化け物じみたモノとなっている。
次回 『林道』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます