第2話 OASIS
日曜日の公園では、様々なタイプの人々を目にする。
親子ずれ、老夫婦、双子の姉妹。
双子の姉妹はポプラの木の下で、何やら笑いあっている。
容姿は当然なのだけれど、着ている服も髪型も一緒であるから、何やら鏡が彼女達の間にあるのではないかと錯覚する。
母親は見分け方を心得て入るのだろうか?
彼女達から、離れていないベンチに恐らく母親と思われる女性がにこやかに座っている。
髪が長くて、なんというか、"私、双子の姉妹を育てています!!"と選手宣誓(全日本双子の姉妹を育てています選手権)しているような服装をしている。
時々、そういった服装の若い母親を見かけるけれど、あのダボっとした、服装はなんと言うのだろう?きっと確立されたファッションの一形態なのだろうけれど。
実際、双子の姉妹と母親について考えたのは八秒程度の脳の無駄な活動だった。
まじまじと見詰めていれば、なにか新しい発見があるのかもしれないけれど、それは不振な行動に他ならない。不思議の探求なのだから仕方ない、と言っても民事裁判では通用しないだろう。
もしかしたら、テレビカメラが僕の後ろに常についてくれば、何かの撮影と思って、母親、双子共々、御丁寧に挨拶してくれるかもしれない。
しかし、日曜の非芸能人独身男を密着してくれる、テレビ局も無いだろうし、あったとしたら、いよいよテレビというビジネスも崩壊するように思うのだろう。
まぁ、安心してくれたまえ、今日も朝からテレビでは、俳優Hの不倫報道でもちきりだったのだから。
AM9:00の公園というのは、清々しい。都会育ちなら分かってくれるだろうが、公園で清々しさを感じるのは非日常的な出来事なのだ。
コンクリートジャングルで日々生活し、コンクリートな人々と交遊しコンクリートな食事をしていると、いつの間にか自分がコンクリートで塗り固められる気がしてくる。
妥協してドラム缶にコンクリート詰めにされて、海に沈められてもいいと思えれば、良いのかもね、海の底は以外に素晴らしいとこかもしれないよ、少なくとも孤独ではない、コンクリート詰めにされたのは僕だけではないのだから。
そして、AM10:00になり雨が降りだす。
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