◆6章:もう一つの奥義『モンタージュ理論』をマスターせよ!◆

6.1:キャラクター設計にも応用できる? モンタージュ理論とは

 本旨で、『キャラクターの関連性』『グループ』の可視化の重要性を述べてきましたが、もうひとつ、応用編をば。

 映画やアニメなどの映像作品で使われている、モンタージュ理論を考察したいと思います。


 モンタージュ理論とは、1920年代のソビエト連邦の映画界で証明された、手法です。(※1)

 すなわち、


【Aという絵と、Bという絵を組み合わせることで、Cという意味が発生する】


 という、状況を指します。

 一例を示しましょう。



 最初に、

 『1枚目:太陽』の絵を表示し、


 続いて、

 『2枚目:汗ばんで息を切らしている人間』の絵を見せたとします。


 すると、どうなるでしょう?


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     ・

     ・

     ・

     ・


 (シンキングタイム)


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     ・

     ・

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 ある人は、


 ・暑そう

 と、考えるかもしれません。また、ある人は


 ・喉が渇いている

 と、感じるかもしれません。



 しかし、元のイラストには『暑い』『喉が渇いている』なんて断言できる、情報は含まれていません。

 汗をかいているからといって、原因が酷暑であるとは限らないはずです。

 ですが、太陽が強調されているから、気温が高いのであろうと推測できた。

 つまり、情報Aと情報Bをセットで見せたことで、観覧者は状況の行間を読んだ――人間の想像力が刺激されて、情報Cが新たに創造されたわけです。



(※1) モンタージュ理論

 旧ソビエト連邦の映画監督、セルゲイ・M・エイゼイシュテイン(代表作:戦艦ポチョムキン 1925年)が確立。視点の異なる複数のカットを組み合わせて、様々な映像トリックを作り出す方法論。モンタージュ=編集・組み立てという意味。

 モンタージュ理論を用いて現れた結果に、クレショフ効果、プライミング効果などがある。

 上記の『太陽』と『汗をかいた人』の例は、厳密にいえば、モンタージュ理論を用いて生じた、クレショフ効果にあたる。

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