第10話 【慈悲も解きて麗らに】

 【慈悲も解きて麗らに】

白々しく薄く輝かしい惰性のように

吐く息は雪を掻き分けておぞましく

儚くもその面を覘かせる、華々。

辛うじて色づき虚ろ彷徨うばかりです。

表界では今も軽快な音を響かせ

啄木鳥が堕とし穴を拵えておりますが

皆様、いかがお過ごしでしょうか

其方そこは窮屈で御座いませんか

一目置けば白々しく 至極可哀らしい、

損な齷齪せんと 春は直ぐ底に咲いて狂うでしょう

今一度、チャンスをください。などと、

首を移し盗られた椿は無駄に天を仰いで

終いの景色を腐るまで 眺め長め愛でましたか。

美しい青空は今も しじまで彼方を刺し

殺しては常に輝るので 永久に続くのでしょう

そんな断り、誰もせんでしょうよ。

今直に手折ってやりましょう 素の方が

貴女には緒似合いの花束に馴れるでしょう。

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