第7話【甘藍】
遠くの海に 銭 持ってゆこう。ようは高飛びだ
何もかもが穏やかな海が そこに、
今お迎えを 貴方から貰い受けて。アーメン
キャベツ畑で寝転んで、
仰山くっついていた幼蟲は
あぁ ウマレタのはモルフォの彩で
光に解けて 空に消えて 大空に その羽広げた悲も。
捕まえる事すらできやしなかった
蝶々は 私の手元からいなくなってしまうようで、
やはり私は いらないようで、
対岸は遥遠く霞んでゆくばかり。
虹彩の矢を放ち、痛々しく触らし
嗚呼 誰もが打たれては恋に堕ちゆくだろう。
どうやら私に集って居たのは、残念ながら蛆蟲どもと、
あゝ 仲酔うにと思い 今更気づいたところで。
もうすでに 腐りきった身では
持ちつ持たれつのようで、腐りきってしまったので。
この身はもう動けそうもないなァ、
園に使徒はいない
箱船がいっそう、
危うくも水面にプリズムを躍らせて。
喰らい尽くしておくれよ、
ナア欲しかったんだろう 必要ならば
だが、
薬指だけは喰わないでおくれよ。
朱い糸 切れちまうだろ。
大変穏やかな光のカーテンが その陽のほほえみが
天からは 非常にも 降ってきて
注がれては 射たんで 傷んで ゆく
嗚呼あゝあぁ視界が朧げに満ちて逝ける
生きたまま喰らわれて、ナア、羽搏いて要った者達よ
とても綺麗だったから。もう、いい。
いつか飛び立ってしまうのだろう この幼子たちは
どちらでも どちらとも 私の身を糧にしてくれて、
必要としていただいたから もう術もない、
ありがとうを。
ひとしずくだけ 流しましょう。
その天からの恵みはそっと留まって
ひらりと織りて震う蝶々
私がこの世に生まれたこと此処に。
全てを投げだして、啼いて 哭いて
ゆっくりと瞼をおろす
屹度 新しく生まれ変われるのでしょう。
【甘藍】
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