第3話【風船】

撓いだ意図で夜贄に 縁を熟み墜とす

新しい朝が来る。


光の虹彩を含んだ目玉は 膿んで落ち窪み

熱で外づらは乾いて皴を 刻むのだろうな

いたいゐいたい陽に 乞いと妬かれては

朱い苑の日に実を預けて、ふっと潰して終おうと思い立ち。

当の昔から定められた理を 今、断ち切りたいのです。


貴方の瞳が 未来のイロに 染む痕は。

彼方の眸が 過去のイロを 孕む前で、


今にお別れを

常に満ちては曳いて 生みに逝くことは逃れられない。

なら一艘。

清々しい薄命の世の果てを共に見ようではないか、

わらってないていきをして 草臥れて地に沈むまで


私達はもう随分の間、新緑の若葉に猛々しく臭う

ピンと張る弦に絡まれています

身も心も もうすっかり隙間無ゐ程、

おおわれる絹のタキシードは

滑らかに無惨なほど白く染まり。

纏わり 尽くした装束のドレスも

朱をたまわる暁光だけは知っていて、

共に桎梏しっこくに沈んで どこまででも ゆくのでしょう。


世界はいろで凍りついている

私たちも見えやしないいとで

永久とこしえを見いだしている 定め

【風船】

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