双葉は別れ、また出会う

立花 零

1_きっかけ



「日代、そっちはどう?」

「うん。順調だよ、冬子さん」

 両親を事故で亡くして一週間が経ち、自宅にある遺品を整理しようと思い立ったのが昨日。私がしっかりしないといけないのに、涙が溢れてたくさんの人に迷惑をかけてしまった。

 手伝ってくれる母の姉の冬子さんは、明日まで会社を休んで手伝ってくれると言った。ひとりでもできるだろうと高を括っていたのも束の間、思っていたより二人の思い出は多かった。

 親交があった母の両親ははやくに亡くなってしまっているので、私が今頼れるのは冬子さんで、一人でこの家にいさせるのは不安だからと彼女の家に居候させてもらっている。

「これはどうする?」

「んー・・・どうしよう?」

「いらないか」

 私のものではないのでどうにも判断がつきずらいものが多い。そんな時は冬子さんの冷静な判断で処理される。優柔不断なところがある私にとって神のような存在だ。

「あれ」

 戸棚を整理していると、両親の昔の写真が出てきた。学生時代や社会に出てからのもの、両親はとても仲がよく、思い出を残したがる人だった。その所為もあって、見つける度に緩む私の涙腺をどうにかしてほしい。

 私の写真があるアルバムは別にあったので、そこにあるはずはなかった。けど、違和感のあるものを見つけてしまった。

 母がカメラに向かって微笑んで、その胸元にはよく似た二人の生まれたばかりであろう子どもが抱かれている。

「ふたり?」

 似ているようで似ていない。

 誰かの子どもだろうか。同時期に産まれた友達の子の可能性はある。だとしたら今までに会っている気がする。友人との交友関係が良好すぎる両親は、常に家に誰かを招いていた。

 それ以外に予想できることは・・・。

 不思議だったのは、もし仮に片方が私だったとして、私の写真が集うアルバムに入っていないことだ。発見したのは両親のアルバムの中。

「・・・考えすぎは良くないな」

「何か言った?」

「ううん、何もー」

 独り言なんて言っていることがバレたら落ち込んでいると思われかねない。不安そうな顔は良くない。

 仕切り直して冬子さんが担当する場所へ向かう。確か、書類関係を担当してくれていたはず。




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