第36話 俺、嫌われちゃった?

「あ、麗華、これが麗華へのお土産な。」

「わぁ〜!ありがとう!お兄ちゃん!これ、何?」

「さぁ?なんだろうな?開けてみたら?」

「うん!そうする!」



 麗華は、子どものように目をキラキラさせ笑顔で俺が上げたお土産の袋を開け、中身を確認した。

 そして、麗華はその中身を見てさらに目を輝かせた。



「わぁ〜!すごい綺麗〜。」

「麗華には食べ物よりもこういうアクセサリーみたいなものの方が喜ぶかなって思ってこっちにしたんだけどこれで良かったか?」

「うん!ありがとう!お兄ちゃん!大事にするね!」

「ははっ、喜んでもらえて良かったよ。それじゃ、他のみんなにもお土産渡してくるから出かけてくるな。」

「行ってらっしゃい、お兄ちゃん!」

「ああ、行ってきます。」




 俺は、みんなへのお土産を持ち麗華に見送られながら家を出る。

 まずは康介と麻美のところへ行くか。

 俺は、そう思い香取家へと歩く。

 今日は、まず康介と麻美のところへ行ってその後に太輔の家、そして最後に優奈の家だな。

 あ、そういえば連絡とか取ってないけど大丈夫かな?まぁ、いなかったらまたいつか渡せばいいか。どうせあと一週間くらいで花火大会だし。

 そんなことを考えていると香取家へと到着した。

 俺がインターフォンを押すと扉がガチャっと開き、麻美が出てきた。




「あら、上ノ原。どうしたの?」

「昨日まで旅行に行ってたって言っただろ?だから、これを渡しに来たんだ。」

「わぁ〜!お土産!?ありがとう!わざわざ気を使ってくれて。」

「康介はいるのか?」

「あ、あいつなら今、出掛けていないわよ。」

「そうなのか、なら、これを渡してくれ。そっちが麻美の分。こっちが康介の分な。」

「二人分用意してくれたんだ、ありがとう。」

「別にいいよ。みんなの分も買ってきてるんだから。」

「ふふっ、そうね。なら、遠慮なく貰うわね。あ、それと優奈には何を買ってきたの?」

「ん?優奈に?優奈には俺とお揃いの沖縄特製キーホルダーとボールペンとかだ。」

「ふぅ〜ん、まぁ、妥当なところね。」

「妥当なところって……まぁ、いいけど。他のところにもお土産を持っていくから俺はもう行くな。康介にもよろしく言っといてくれ。それじゃ、また、花火大会で。」

「うん、またね〜。」




 俺は、香取家を離れ次は太輔の家へと向かった。

 歩くこと10分。太輔の家に到着した。

 俺は、今さっきと同じようにインターフォンを押す。すると少し待ってドアが開き太輔が出てきた。




「よっ!久しぶり!」

「おっ!陽一か。久しぶり。旅行行ってたって言ってたけどどうだった?」

「結構楽しかったよ。それでそのお土産だ。」

「おお!マジか。サンキュー!」

「はい、これ。」




 俺は、そう言って色々あるお土産の中から少し大きめのお土産をとり太輔に渡した。

 さて、どんな反応するか楽しみだ。

 太輔は、ワクワクとしながらそのお土産を見る。



「…………こ、これって………」

「シーサーだ!」

「………さ、サンキュー……」



 俺が太輔に用意したお土産はシーサーの置物だ。どういう表情をするのか楽しみだったのだが……すごい微妙な顔をされてしまった。




「ははは、そんな微妙な顔をするなって。他にも用意してるから。」

「っ!ほ、本当か!?」

「ああ、お菓子とか飲み物とか色々とな。」

「おおっ!サンキュー!」



 こっちのお土産は、すごい喜んでくれている。

 やっぱり太輔には食べ物の方が良かったみたいだな。




「ま、そのシーサーも貰ってくれ。家にあっても置く場所ないし。」

「俺に押し付けんなよ!まぁ、貰っとくけど。」

「それじゃ、最後に優奈の家に行くから俺はもう行くな。」

「ああ、わざわざ届けてくれてサンキューな!それじゃ、次は花火大会で!」

「ああ、そうだな。またな!」




 俺は、太輔に手を振って歩き出した。

 優奈には試験や宿題のお礼があるからお土産とか色々買ってきたけど喜んでくれるかな?

 麻美には妥当なところって言われたけどどうなんだろう?こんなことならお土産なんが欲しいか聞いておけばよかった。

 俺は、そんなことを考えながら歩いているといつの間にか優奈の家に到着していた。

 まっ、いっぱいあるしどれか一つは気に入ってくれるものもあるだろ。

 俺は、そう思いインターフォンを押した。




「はぁ〜い、誰かしら?……って、陽一君じゃない!どうしたの?あ、優奈呼んでこようか?もういっそ、上がって!」



 玄関から現れたのは優奈のお母さん、七海さんだった。

 ってか、やっぱり七海さん、すごい元気だな。




「い、いやいや、さすがにお土産を渡しに来ただけなんで。」

「お土産?それなら、いっそ上がって欲しいわ!またお茶したいし。」

「そ、それなら……分かりました。」




 俺は、七海さんに強引に押し切られ家に上がることにした。

 そのままリビングに通される。そして、そこに居たのは私服姿でテレビを見ていた優奈だった。




「お母さん、玄関で騒いでたけど誰だった………の……」

「よっ!邪魔するぜ。」

「…………きゃ」

「「きゃ?」」

「きゃぁぁぁぁぁぁあああ!!!」




 優奈は、悲鳴をあげながら自室に行ったてしまった。

 俺は、そんな優奈の姿を呆然と見ながら七海さんに問いかけた。




「俺、嫌われちゃったんですかね?」

「うふふ、それだけはないと思うわぁ〜。」




 七海さんは、どこか嬉しそうにしながらそう答えた。

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