第25話 夏休みの最初のイベントは………
「くぅ〜!夏休みの宿題終わった〜!!」
「お疲れ様〜。」
俺は、凝った体をほぐすように両手を組んで上げて伸びをする。
そしてその後、床に寝転がる。
「優香、本当にありがどうな。おかげで7月中に終わることが出来たよ。」
「ううん、別にいいんだよ。それに頑張ったのは陽一君だもん。」
優奈は、そう言うが俺は本当に優奈のおかげだと思ってる。
俺が宿題を終えたのは7月が終わるギリギリの時。
それに比べ優奈は、3日前にとっくに終わっていてずっと俺に教えてくれていた。
「よし!これで明日から遊び放題だ!」
「ま、まぁ、そうだけど遊びすぎて宿題とか無くさないようにね。」
「分かってるって。宿題は、ちゃんとこの引き出しに入れてるから大丈夫だよ。」
「まぁ、それなら……」
「あ、優奈、明日も暇か?」
「あ、明日はお母さんと一緒に買い物に行かなきゃいかないの。」
「そうなのか、まぁ、七海さんとお買い物なら仕方ないな。暇なら一生に遊ぼうかと思ったんだけどな。」
「ごめんね、誘ってくれたのに。」
「いや、いいんだよ。家族との付き合いも大切だもんな。」
優奈が暇ならなんかお礼でもと思って食事でも誘うつもりだったけどまぁ、明日は勉強お疲れ様ってことでゆっくりと休むとするかな。
「あ、私そろそろ帰るね。」
「送って行くよ。」
「も〜、毎回いいって言ってるのに〜。」
「俺が手伝ってもらってるんだから当然だろ。」
「あ、でも、その前に麗華ちゃんに挨拶してきていい?」
「ああ、いいよ。お前と麗華って結構仲がいいよな。」
「まぁ、色々と話が合うことがあってね。」
「へぇ、そうなんだ。」
その後俺は、優奈と麗華の話が終わるまで待ってそれから優奈の家へと送って帰った。
「ただいま。」
「お兄ちゃん、おかえり。」
「陽一、少し話があるからこっちに来て。」
「ん?何の話?」
「それはこっちで話すわ。麗華、あなたは夕ご飯を作ってくれるかしら?」
「うん、分かった。」
なんか、ものすごい嫌な予感がする。
そして、だいたいこういう嫌な予感というものは当たるものと決まっているのだ。
「陽一、明日から二泊三日の旅行に行ってきなさい。」
「…………行ってきなさい?」
「ええ、あなたと武本家の皆さんで旅行。もう予約もしてくれてるから。」
「………は?ちょっと待って。全く理解できないんだけど?」
「喜びなさいよ、無料で旅行に行けるのよ?本当は、私たちも招待されてたんだけど私は明日用事があるからね。」
「りょ、旅行って言ったってどこに行くんだよ!?」
「確か、沖縄って言ってたわね。いいな〜、沖縄、私も行ってみたいな。」
なら、あんたが行けよ!と言いたいのをぐっとこらえた。
そして知った。反論を言ったところで何も変わらないことを。
まぁ、旅行自体は悪くない話だ。それにその時に静香とも仲直りすればいいしな。
うん、こう考えたらいい話のような気がしてきたぞ?
「分かったよ、明日のいつどこに行けばいいの?」
「えっとね、朝の9時ぐらいに駅の方に来てって。」
「朝の9時ね、分かった。」
今回の旅行で一番気をつけないといけないのは静香とずっと険悪なまま二泊三日を過ごすこと。
だから、まず一番にすることはちゃんと話して打ち解けることだ。
「陽一、しっかりと話をしてくるのよ!」
「ん?ああ、分かってるよ。」
なんだか母さんからここでなにかアクションを起こせという意志を感じられたんだが。それもなんか今までとは違うちょっと真面目な感じなんだが……
「お母さん、お兄ちゃん、ご飯できたけどまだ食べない?」
と、そんな所で麗華の声が聞こえた。
母さんは、明日絶対に遅刻しないように告げてリビングへ行った。
俺もそのあとをついて行き、麗華の作った夕食を食べた。
そして、翌朝。
着替えとか色々入れたバックを持ち、時間に余裕を持って家を出た。
そして、駅に着いたのは10分ほど前だったが、もう静香たちは既に着いていた。
「すいません、待たせてしまって。」
「いや、いいんだよ。それに陽一君も約束の時間10分前に来てるじゃないか。」
「そうですか。………今日は、旅行に誘っていただきありがとうございます。とても嬉しかったです。」
「こっちも陽一君が来てくれて嬉しいよ。ありがとう。あと、はい、これ切符ね。」
「あ、ありがとうございます。」
俺たちがこんな会話をしている時も静香は、全くこっちを見ようとはしなかった。
大丈夫だよね?ちゃんと打ち解けれるよね。
「それじゃ、そろそろ行こうか。」
「はい。」
その後、俺たちは、電車で空港まで行きそれから飛行機で沖縄に行った。
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