第24話 夏休みの宿敵と戦います

 期末試験が終わるとあっという間に終業式の日まで来た。

 何とか無事に期末試験も終わったし後は、夏休みを楽しむだけ!








「夏休みを楽しむだけ!っとか陽一君、思ってるでしょ?」

「っ!?な、なんで……」

「顔にそう書いてるもん。」







 優奈にそう言われ俺は、自分の顔を触る。







「今のは言葉の表現だから!」

「そ、そうだよな。でも、やっぱり夏休みは楽しまなくちゃ!」

「………陽一君、宿題はどうするの?」

「っ!……ヒューヒュー」

「吹けてないよ。はぁ〜、また誰かに見せてもらうつもりなんでしょ?そんなんじゃまた試験で赤点とっちゃうよ。」

「………だ、大丈夫だ!もう夏休みを無事に過ごせるんだからな!」

「今に、今にって生きてたら後々後悔しちゃうよ。やっぱりちゃんと将来のことを考えないと。来年は、私たちも受験生なんだよ。」

「聞きたくない……聞きたくない……聞きたくない……」

「っもう!」










 受験生とかまだまだ未来の話だ。そう、未来の話。










「じー」

「………優奈、宿題で分からないところを教えてくれないでしょうか。」

「………まぁ、教えるくらいならいいよ。一緒に終わらせよっか。」

「ありがとう!」








 よし!これで宿題の件はどうにかなった。

 ………どうせ手伝ってもらうのなら早くがいいな。優奈の都合とかもあるし。








「優奈、今日は暇か?」

「うん、暇だよ。」

「じゃあ、終業式が終わったあと俺の家で宿題やらないか?」

「分かった、なら、学校が終わったあと一旦家に帰ってからいくね。」

「ああ、分かった。」










 そう約束してから数分後にチャイムが鳴りるみちゃんの朝のホームルームを聞いてそしてその後すぐに終業式があった。








「はぁ〜、ようやく終業式が終わったな。」

「ああいう式ってずっと話を聞くだけだからつまらないよな。」

「全くだな。」







 俺と太輔は、愚痴をこぼしながら教室に戻った。

 まっ、でもこれでようよく待ちに待った夏休みだからな。

 その後、今学期最後の帰りのホームルームがあり、色々と話をしたり通知表をもらったりとした。

 そしてそれも二十分もしないうちに終わり帰宅となった。

 ちなみに俺の通知表は、今までて一番良かった。期末試験があんなにいい成績で終わったからだろう。








「陽一君、それじゃ、昼ご飯食べたあと、陽一君の家に行くね。」

「ああ、ありがとう、頼むな。」








 その後、みんなで一緒に帰れるところまで帰ってそれからみんな別々の道に分かれ帰って行った。








「ただいま〜。」






 と言っても家には誰もいないから返事は返ってこない。

 普通なら麗華がいるところなのだが今日は、まだ中学生は普通に授業の日なのだ。

 俺は、自分で昼食を用意しようとしたがまずは部屋の掃除からだなと思い部屋の掃除を始めた。









 ピンポーン

 家に帰ってから30分後、家のインターホンが鳴る。

 もう来たのか。まだ昼ご飯を食べてないのだが、まぁ、いいか。








「よっ、結構早かったな。」

「陽一君のことだからどうせ昼ごはん食べてないと思ってね。だから、家で作ってパックで持って来ちゃった。あ、もうお昼食べた?」

「いや、食べてないよ。本当に助かるよ。」

「じゃ、一緒に食べよ。」







 優奈は、俺の家に入りリビングにあるテーブルに家で作ったおかずを置いていく。

 そして、ひとつ大きなパックにご飯がぎっしりと詰まっていた。どうやらおかずだけじゃなくご飯も持ってきてくれたようだ。







「本当に悪いな。こんなことまでしてもらって。本当に優奈には恩を作ってばっかりだな。」

「そんなことないよ………陽一君から受けた恩はまだまだこれくらいじゃ返せそうにないもん……」

「ん?なに?恩?」

「あ、ううん!なんでもないよ!それより早く食べよ!」

「ああ、そうだな。」









 俺と優奈は、お茶碗にご飯を盛り合掌して昼ごはんを食べていく。

 それから30分後、全ての料理を食べ尽くした。







「それじゃ、洗い物するから陽一君は、休憩してて。」

「ちょ、洗い物くらい俺がするって。優奈には昼ごはんを作って貰ってるんだから。」

「別に気にしなくていいのに。それじゃ、手伝って貰えるかな?」

「ったく、優奈こそ休憩してていいのに。」

「いいの!私こういうことするの好きだから。」

「そういうものか。」








 優奈は、自分からめんどくさいことを率先してやるタイプだ。いつもそんなことばっかりやってるので俺も時々手伝っている。

 一つの例を挙げるとしたら間違いなく俺の勉強を見てくれることだ。そんなことをしたってなんと得もないのに。








「ふぅ、それじゃ、洗い物も終わったから宿題、やろっか。」

「そうだな。じゃ、俺の部屋に来てくれ。」

「うん、分かった。そう言えば陽一君の部屋に入るのも久しぶりだよね。」

「確かにそうだな。まぁ、このごろ遊ぶ時はだいたいどこかへ出掛けたりしていたからこうやって人の家に集まることなんてあんまりなかったしな。」

「そうだね、まぁ、でも今もすごい楽しいけどね。」

「ああ、俺もそう思う。」








 俺と優奈は、そのまま俺の部屋に来て宿題を始めた。

 さすがに解けない部分も多くあるのでそこは優奈に質問しながら解いていた。

 そして、時が過ぎもう外がオレンジ色に染まっていた。








「ここまでにするか。ありがとう、優奈。すごい進んだよ。この調子なら7月中には終わりそうだな。」

「そうだね、でもそれはこれからちゃんとしてのことだからね。」

「ああ、分かってるよ。優奈、またいつか頼めるか?」

「うん!全然いいよ!」

「ありがとう。」






 優奈は、笑顔で俺の問いに応えてくれた。やっぱり優奈は、変わり者だ。こんな俺を笑顔で支えてくれるんだから。

 その後俺は、優奈を家まで送って行った。

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